長い夏休みに親が手を焼きがちな子どもの時間管理。子どもと相談して、やることの順番や時間を決めても、ダラダラしていたり、やることそっちのけで遊び始めたり……。子ども自身が楽しんで時間管理に取り組めるコツを、臨床心理士の中島美鈴さんにうかがいました。現在発売中の「AERA with Kids 2022年夏号」(朝日新聞出版)から一部抜粋して紹介します。
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「時間管理ができないのは、子どものせいではありません。どうすればできるようになるのか、行動のしくみを作ることが大切です」
そう話すのは、臨床心理士の中島美鈴さん。考え方のクセや行動パターンを見直していい循環にする「認知行動療法」が専門です。
「大人は過去の失敗から学び、未来を予測して行動しますが、低学年くらいの子はまだ10分先までしか見通せません。だから、『夕方に予定があるから先に宿題をやっておこう』とは考えないのです」
そこで大事なのが、子どもの発達やタイプに合わせたしくみ作り。
「しくみ作りでは、親子がチームとなって時間管理というミッションに取り組むのがポイント。合わなければ次の作戦を試します。また、10歳ごろまでは具体的操作期といって、目に見えるものを理解するので、予定やごほうびなどは絵や実物を見せるといいですね」
親主導でわが子に合った枠組みを整えていけば、時間の感覚が身につき、朝や帰宅後の行動を習慣化できると中島さんは言います。しくみを活用して子ども自身が予定を管理できるようになり、やがて自立へと向かっていきます。
中島さんおすすめの時間管理のテクニックを教えてもらいました(本誌より一部抜粋)。
(1)10分ブロックで行動を細かく分ける
大人のように「この宿題なら30分くらいで終わる」といった時間の感覚が育っていない子どもには、10分単位で行動を分けて声をかけ、10分で何がどれくらいできるのか意識させて。「えんぴつを削るだけ」「とりあえず1行書くだけ」など「これなら楽勝!」と子ども自身が思えるくらいスモールステップにします。
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