高濱 リアルにあるんだ、そんなことが。……なんかハラたってきた(笑)。
山野 とはいえ、高校に入ったら最初のテストで順位が3ケタだったので、びっくりしました。だから僕は一度自分の学力にそっとフタをして、サッカーに励むことにしたんです。僕はサッカーをしにこの高校に来たんだって。
高濱 実際、サッカーが強い高校だったんだよね。
山野 千葉県でスポーツ推薦を採用してない高校の中では強豪校の一角でした。だから3年間サッカー漬けで当然浪人。しかも予備校で模試を受けたら、僕の偏差値、なんと42だったんですよ。
高濱 神童じゃなかったんだ。
山野 地元限定の「井の中の蛙」とは僕のことだとはっきりと悟りました。ある意味、初めての挫折でしたね。
高濱 でも気づけばそれでいいんだよ。僕は15歳くらいまでは、井の中の蛙でもいいから自己肯定感をしっかり育てておいたほうがいいと思う。
山野 そういえば、経営者になってからある人に言われたことがあります。山野は受験エリートでもなければ、MBAも持ってないし、外資系勤務も起業家ゼミの経験もないのに、リーダーとして活躍できた。それは逆に「井の中の蛙」の成功体験を積み上げて、スクスクと成長できたからかもしれないねって。
高濱 大賛成。小さいうちから競争ばかりしてコンプレックスをためこむよりも、のほほんとほめられ続けると、それがベースになってかえって打たれ強くなることってあるんだよ。
山野 たしかに。僕は大学時代に友人と一緒に千葉県の柏でフリーペーパーを立ち上げて発行部数30万部まで伸ばしたという成功体験があるんです。でもそれは地方都市である柏だったから成功したのかもしれない。僕は実はそれほどメンタルが強くないことも自覚していて、たとえば最初から大東京をターゲットにしていたら、全くうまくいかず自信喪失していたかもしれません。
高濱 でも柏での成功を胸に、自信をもって社会人になれた。
次のページへ営業トップの先輩に頭を下げて教えを乞う