■年収の15%程度が学習費の目安になる

 学習費の準備については、家計の見直しも方法の一つだ。前野さんは「固定費の見直しは大きなポイントになります」と言う。たとえば、電気とガスの自由化に伴い、供給会社を見直したり、同じ業者でセット契約してお得なプランを選択したりする。生活に不可欠なスマートフォンは格安SIMプランを選んで通信料を抑える。死亡保険や医療保険などにも目を向け、内容や価格に加え、健康保険や遺族年金を活用した保険加入の必要性をあらためて検討し、節約できる可能性を探りたい。 

 先述の文科省の資料で子どもを私立小学校に通わせる世帯の年収に着目すると、1千万円以上が全体の約65%を占める。そのなかで、1千万~1199万円の世帯が1年間で学習費にかけた費用は約153万7千円と、年収のおよそ13~15%の割合だ。これと比べると、固定費の見直しで工面できるのは月に数万円程度にすぎない。前野さんは指摘する。

「学習費捻出のために家計の大改善に挑む家庭もあります。もちろん出費の見直しは大切ですが、子どもを私立小学校に入学させるという目的でも節約だけで乗り切るのは現実的にかなり苦しいと思います。子どもが2人いると、年齢差によっては10年以上にわたって家計を切り詰め続けなければなりません。節約も大事ですが、並行して収入を増やす努力も必須になってきます」

 2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成して以降、昨今では副業を認める企業が増えつつある。副業以外にも、仕事に必要な資格を取得して昇給が伴うキャリアアップをめざしたり、エージェントを活用して給与が上がる転職を検討したりする価値はある。専業主婦・主夫をやめ、パートを含む仕事に就くのも収入を増やす方法の一つだ。

NEXT■祖父母も含めた親子3代で取り組む
1 2 3