(2) あなたは評価されるべきなのに、おかしいね

「評価されなかったことに問題がある」というマインドを持たせる可能性があります。評価されないことを他人のせいにするようになり、努力をしなくなるおそれがあります。

(3) まるで◯◯(偉人や有名人など)みたいだったと思うよ

 偉人や有名人は実は大したことはないのではないか、と低く見積もる可能性があります。目標や憧れを持つことは成長の促進につながりますが、それはある程度現状の自分の実力からは離れているという認識が必要です。

(4) まあ、先生の評価なんて大した問題じゃないよ

 先生だけでなく、社会や組織を軽く見るようになるおそれがあります。社会や組織では協力することが何よりも大事ですし、そのためにはリスペクトの精神も重要です。自分一人では解決できない問題に立ち向かうためにも、多少不条理だと感じたとしても、一つの客観的な評価として受け入れる必要があります。

(5) あなたは才能があるからきっと大丈夫

 自分に才能があるなら努力は必要ないと思うかもしれませんし、うまくいかなかったら「自分には才能がないから仕方ない」と努力せずに諦めてしまう可能性があります。

(6) あなたはまだ評価されるレベルではなかったんだね

 一見冷たい言い方ですが、人間関係ができていて、言い方を調整できれば、「今はまだまだだけれど努力次第で評価されるようになる」というマインドを育むことができます。

 親子の間にどれくらいの信頼関係が築けているかで、親から子への言葉の影響は変わります。親が「どんなつもりでその言葉を発しているのか」がいちばん大きく影響するのです。つまり、普段から対話する大人が日常的に発する言葉で、子どもたちのマインドはつくられていくのだということは意識しておきたいところです。

※参考文献:『マインドセット「やればできる!」の研究』キャロル・S・ドゥエック・著、今西康子・訳(2016年1月/草思社・刊)

子どもが「学びたくなる」育て方  「話す・探す・やってみる」で生きる力を伸ばす

矢萩 邦彦

子どもが「学びたくなる」育て方  「話す・探す・やってみる」で生きる力を伸ばす
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矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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