つまり「大人からの評価」と「外遊びやスポーツの経験」が自己肯定感に影響しているということです。自然からの学びを座学より先に置くことの大切さを述べましたが、自己肯定感を高めるにあたっても、自然を感じる経験が大切だとわかります。

 そして、注目したいのは、やはり子どもの自己肯定感は「大人からの評価」に大きく影響を受けるということです。対話のコツとしてお伝えした「否定しない」「合理化しない」「応答する」の3つは、そのまま「自己有用感」を育む要素と言えます。

 私は、生徒のアクションに対してどう応答するかがライブ授業の核ととらえています。「お、いまの話、リアクションが大きかったね」「その意見、なかなかいい視点だね!」「さっきノートみたけどおもしろいこと書いてたね。僕はこう思うよ」など、一人ひとりの小さなアクションを見逃さずにキャッチするイメージです。命令形や、一方的な主張ではいけません。無反応や、てきとうにごまかすことも良くありません。

 一度子どものアクションを受け入れたうえで、意見を言う。一方的ではない対話ができること、応答が返ってくることで、子どもは自己有用感を得ることができるのです。

■子どもにかける言葉、適切なのはどれ?

 学校や塾で評価されず、やる気を失っていたり悩んでいる子どもにかける言葉として、どれが適切だと思いますか?

(1) 私はあなたが一番できがよかったと思う

(2) あなたは評価されるべきなのに、おかしいね

(3) まるで◯◯(偉人や有名人など)みたいだったと思うよ

(4) まあ、先生の評価なんて大した問題じゃないよ

(5) あなたは才能があるからきっと大丈夫

(6) あなたはまだ評価されるレベルではなかったんだね

それぞれの言葉が子どもにもたらす影響について考えてみましょう。

(1)  私はあなたが一番できがよかったと思う

 これは、「共感」に依存するマインドにつながるおそれがあります。「よかった」という言葉を信じれば、よかったのに評価されなかったという現実があるため挫折から立ち直れないし、努力につながらないので、上達もしません。また、この親の言葉を信じなかったとして、それを優しさだと感じて頑張ろうという感性ならよいものの、そうでなければなぜそんな嘘をついたのか悩む可能性もあります。

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