だからこそ、幼い子ほど、親から「かわいい」「お世話してあげなくちゃ」という気持ちを引き出すのです。未熟な状態で生まれた子どもが持つ、生存のための能力といえるでしょう。

 もちろん上の子だってまだまだ幼いのです。他人が見たら「かわいい!」と感じるはずです。でも親にしてみれば、比較対象としてさらに幼くかわいい下の子がいるわけです。上の子はお兄ちゃん・お姉ちゃんに見えてしまい、下の子を優先したくなってしまいます。

 生物学的に、やむを得ない状態であることも知っておいてください。

■「上の子かわいくない」と思うのは、かわいくない行動をさせているのかも

 とはいえ、そのような親の気持ちや行動は上の子にとって耐え難いことであるとも覚えておいてほしいと思います。子どもにとって、親は100%全力で愛してくれて当然の存在なのです。それが下の子の誕生で揺らぐのですから、大変な「危機」です。赤ちゃんがおなかにいる段階ですでに、「これは何か違うぞ」と感じている上の子は多いものです。赤ちゃんが生まれると、なおさらです。

 それでも親子の愛着関係が安定していれば、上の子の関心は親や下の子だけには向きません。保育園や幼稚園の人間関係や、どんどん豊かになる遊びなどに関心が広がる年頃でもあります。下の子の存在を受け入れて発達していくことができるのです。

 でも、そう思えるまでには個人差はあれ時間がかかるものです。親に固執してひどいわがままを言ったり、泣きわめいたり、卒業したはずのミルクを欲しがったり、おもらしをしたり……これを「赤ちゃん返り」といいます。

 また、下の子に強い嫉妬心を持ち、乱暴したり、授乳やおむつ替えのときに割り込んできたりすることもあります。そういうときに親が上の子に心を留めて愛着関係を再構築できるといいのですが、「上の子かわいくない症候群」になってしまっているとそれが難しくなってしまいます。

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