「甘えてくる上の子が鬱陶しい」「上の子をお世話するのがイヤ。自分のことを自分でやってほしい」「下の子がかわいくてたまらない。この子と2人だけでいたい」「上の子がわがままで意地悪。なんでこんな子になったの」――。2人以上の子どもがいるママやパパにこのような感情が湧き上がり、なかなか消すことができない状態を「上の子かわいくない症候群」といいます。正式な病名ではなく俗称のようなものですが、このような言葉が生まれていること自体、「きょうだいに平等に愛情を注げていないのではないか」と不安を感じる人の多さを物語っているといえるでしょう。そもそも、なぜ下の子が生まれると、上の子に向ける親の態度や感情が変わってしまうのでしょうか。2人の子育てを経験した発達心理学者の岩立京子さんに聞きました。
【図版】もしかして「上の子かわいくない症候群」と思ったら調べたいチェックリストはこちら子どもは幼ければ幼いほど「かわいい」と感じさせる力がある
最初に言わせていただきたいのは、「自分の生んだ子だから、かわいいと思えて当然」というのは、ある意味「神話」のようなものだということです。
子どもが言うことを聞かない、いつまでも寝ない、せっかく作っても食べない、何度もおもらしする……そんなときは誰もが困ってしまうし、かわいいと思えないのは当たり前です。逆に、すやすや眠っていると「天使みたい」と思うし、キャッキャと笑顔でいると心から愛おしく感じるものです。
わが子への「かわいい」「かわいくない」は常に変化し、「かわいくない」が優勢になるのは誰にでもあることです。もちろん私にもありました。自分にあっても当たり前、まずはそう思ってください。
もうひとつ覚えていてほしいのは、幼い子ほど大人から「かわいい」と思われるような生物学的特徴を持っているのです。それは人間だけでなく動物も同じです。
幼い子どもは頭頂から顎までの長さが短く、目と目の間が広く、鼻は低く、いわゆる童顔で、体のバランスも頭が大きく、手足が短く、丸みのある身体的特徴を持っていて、大人が自然にかわいいと思うようにできています。動物の赤ちゃんも同じで、かわいいですよね。
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