東大医学部には推薦で入学できる。ただ、当然その要件は厳しい。「高い基礎学力」「自然科学の領域においてきわめて高い能力」あるいは「非常に優れた語学力」が求められる。そのため、国際科学オリンピック(数学、物理学、化学、生物学など)で「顕著な成績を挙げ」たこと、または「きわめて高い英語の語学力(TOEFL iBT100点以上あるいはIELTS 7点以上に相当する英語力)及び豊富な国際経験」を証明する資料を提出しなければならない。

 推薦入試に合格した西大和学園高校の生徒は、選考に挑む際の準備について、次にようにふり返る。「志願書は英語力をアピールするために英語で書き、私は理科系オリンピックの受賞歴がないので、英語力と国際経験の方面で出願。英語力はTOEFL iBTで114点を取った証明書、国際経験を示す資料として、シンガポールの生活やワールド・スカラーズ・カップでの経験をまとめました」(『天才たちのメッセージ 東大理III 合格の秘訣35』)。理三(東大医学部)には日本でもっとも優秀な頭脳が揃う。だが、ノーベル賞受賞者は出していない。それゆえ、しばしば記憶力抜群だが創造性に欠ける頭でっかちと冷ややかな評価がなされ、理三の選抜方法、合格者の資質、大学教育のあり方が問われる。そんな批判をはね返す活躍をしてほしい。

(教育ジャーナリスト・小林哲夫)

※『改訂版 東大合格高校盛衰史~1949年~最新ランキング徹底解剖』(光文社新書)から抜粋

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小林 哲夫

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教育ジャーナリスト 小林哲夫

1995年より『大学ランキング』の編集者。『筑駒の研究』(河出新書)、『学校制服とは何か その歴史と思想』 (朝日新書)、『女子学生はどう闘ってきたのか』(サイゾー)、『旧制第一中学の面目』(NHK出版新書)、『東大合格高校盛衰史』(光文社新書)、『早慶MARCH大激変 「大学序列」の最前線』(朝日新書)など、教育・社会問題についての著書多数。

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