2019年は元号が変わり、新天皇陛下が即位した。それに伴い、様々な儀式や行事が10月から11月に行われた。それぞれどんな意味があったのか。朝日新聞の皇室担当記者が詳しく解説した。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」2020年1月号に掲載された記事を紹介する。

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 一連の儀式や行事の中でもっとも重要なのが、10月22日の「即位礼正殿の儀」だ。天皇陛下は5月1日にすでに即位し、元号も平成から令和に変わっていた。でも、改めて天皇になったことをアピールする機会となった。国民みんなで祝うため、この日は2019年に限って祝日にもなった。

「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います」

 天皇陛下は「高御座」と呼ばれる舞台の上で、新しい天皇としての意気込みをそう語った。高御座は、奈良時代から即位儀式に使われてきたとされ、現在のものは、大正時代に作られた。高さは約6.5メートル、重さ約8トン。

 この儀式には、外国から多くのゲストが出席した。191の国などから合計約2千人。英国のチャールズ皇太子、スペインのフェリペ6世国王夫妻、ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問など「VIP」がずらり。これらの人たちをもてなそうと、同じ日の夜には祝宴「饗宴の儀」が皇居・宮殿で開かれた。料理は和食中心で、宮内庁から外注されたプリンスホテルのシェフが担当した。

 11月10日には、天皇陛下の即位を披露するパレード「祝賀御列の儀」があった。両陛下はオープンカーに乗って、皇居・宮殿からお住まいの赤坂御所までの約4.6キロを30分かけて進んだ。沿道には多くの人が集まり、皇后雅子さまが涙ぐむ場面もあった。

 オープンカーはトヨタの高級車「センチュリー(3代目)」を改造したもので、ボンネットには特別なときだけ使われる天皇旗が立てられた。沿道には前回の平成の即位パレード(1990年11月)より多い約11万9千人が集まり、両陛下は多くの人たちに祝ってもらったことを感謝したという。

 パレードには、警察が約2万6千人態勢で警戒に当たった。オープンカーに向けて物が投げられたり、ドローンを使った事件や事故が起きたりしないよう、持ち物検査をはじめ、パレードコースに近い駅では、出入り口の一部やコインロッカーを使えなくした。

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AERA編集部
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