歌舞伎役者・尾上菊五郎さんを父にもち、伝統芸能の家庭で育った寺島しのぶさんは、数多くの映画賞を受賞する演技派女優。息子の寺嶋眞秀(まほろ)さんは4歳で歌舞伎の舞台に立ち、昨夏にはドラマ出演も果たしました。NHK大河ドラマ「どうする家康」では、しのぶさんが語りを、眞秀さんが家康の息子・信康の幼少期を演じます。今回はそんなお二人がそろって登場。ときにツンツン、ときに爆笑の親子トークをお楽しみください。「AERA with Kids 2022年冬号」(2022年12月5日発売)から抜粋してお届けします。

MENU ■「心で芝居、目で殺す」アドバイスはこれだけ ■3年ぶりのフランス 大好物はエスカルゴ

*  *  *

■「心で芝居、目で殺す」アドバイスはこれだけ

――2022年の夏、眞秀さんはドラマに初出演しました。しのぶさんから演技指導はされたんですか?

しのぶ セリフ合わせくらいでしたね。撮影現場への立ち会いはしましたけど、現場では保護者に徹しました。モニターで眞秀の演技を見ていると、どうしても口をはさみたくなるんですが、そこはのみ込んで……。何か言うと、あからさまにイヤそうな顔をされるので。

眞秀 そうでもないよ。習い事で何か言われると腹が立つけど、演技のことはイヤじゃない。

しのぶ そうなの?

眞秀 それに、お母さんは撮影が始まる前にひとつだけアドバイスをしてくれて。心で……やって目で殺す?

しのぶ もう、「心で芝居、目で殺す!」

――どういう意味ですか?

しのぶ 私、お芝居で一番大切な―のは目だと思っているんです。目は口ほどにものを言うっていうくらい、目の表現力は重要。役柄を理解して心で演じて、最後は目の力で相手の心を射抜く、そんな気持ちで演じなさい、目が決め手だよって伝えました。

眞秀 目で殺せたかどうかはわかんないけど、撮影は楽しかった。セリフを覚えるのも得意かな。

しのぶ 監督の指示をちゃんと理解できて動けていたからよかった。ドラマに出ることで、歌舞伎とはまた違った表現力が身につくと思う。今回は素敵な監督さんに巡り合えたから、また次につながるといいね。

次のページへ家では何語で話す?
著者 開く閉じる
神素子
神素子
1 2 3