――AIには弱点がたくさんあるんですね。では、AIに絶対、奪われないのはどんな仕事ですか。

 営業職のように、お客さんの本音がどこにあるのかをあれこれ質問しながら探って、商談を成立させる仕事は、AIにはできません。

――なるほど。今後、AIに負けない力を身につけるには、どんなことをしたらいいですか?

 AIにできないことを得意分野にすることです。「なぜ?」と問い、因果関係を考えるクセをつけて、論理的思考力を磨きましょう。問題解決のためにも、創造的なアイデアを出すためにも、論理的思考力は欠かせません。もう一つ重要なのは、コミュニケーション力をつけること。年齢の異なる人と交流できる地域のクラブ活動などに参加して、さまざまな考えに触れたり、思いやりの心を学んだりするといいですね。芸術に触れることも、発想力を豊かにしてくれるでしょう。柔らかい頭で、日々、新しく学ぶ人は、一生、仕事に困らないはずです。

【AIが開く未来】
<稲の病害虫の有無を0.02秒で診断>
 稲の病害虫は数百種類あって、10ヘクタールの水田に育つ葉の健康状態を人間が一枚一枚調べると、どんな早くても157年かかるという。ところが高解像度カメラを搭載したドローンで水田を撮影してAIに画像を解析させれば、0.02秒で診断できる。今の技術で十分できるし、ドローンはシェアできるからコストもそれほどかからない。

<万単位の写真からがん細胞を探す>
 現在、がん細胞の有無は、高解像度カメラで撮影した写真から3千枚ほどを選び、一枚ずつ医師が目で見てチェックしている。見落としたら命に関わる重大な作業だが、単調で時間がかかる。しかもがんは数千種類あり、覚えるのも大変だ。これをAIに任せるシステムの構築が進められている。ただ、整備から普及まで10~15年かかる見込みだ。

(文・ジュニアエラ編集部)

※月刊ジュニアエラ 2019年4月号より

ジュニアエラ 2019年 04 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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