「ブラック部活」に対し、「ゆる部活」というのが増えているという。いったいどんな部活なのだろうか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』の3月号に掲載された記事を紹介する。
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「体力向上部」「軽運動部」。最近、聞き慣れない運動部活動が生まれている。勝つことを目指さず、体を動かすこと自体を楽しむ部だ。時間も短く、厳しさとは無縁。「ゆる部活」とも呼ばれている。
東京都世田谷区のある中学校の軽運動部は、活動は月2回ほど。リズムにのってパンチを繰り出すボクササイズや、2本のロープを使って跳ぶダブルダッチ、チアリーディング、ミニテニス、バランスボールの体幹トレーニングなど、異なる種目を楽しむ。
これなら、「運動は苦手」「うまい下手は関係なく、気持ちよく体を動かすだけでいい」という生徒も入りやすい。文化部と兼ねる生徒も多いそうだ。
一方で、「ブラック部活」という言葉もささやかれる。
家庭で過ごす時間や学習時間がなくなるほど活動時間が長い。指導者が暴力を振るう。そんな行きすぎた部活動を指す言葉だ。その改善を促すため、2018年3月にスポーツ庁が総合的なガイドラインをつくり、週2日以上の休養日の設置など活動時間を制限する指針を出した。
そのガイドラインに、「ゆる部活」の設置も盛り込まれた。全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果、ほぼ運動をしない子どもは、男子よりも女子に多かった。また、文化部か無所属の中学生の子どもたちの運動部への参加条件は、友達と楽しめる、自分のペースで行うことができるなどが上位を占めていた。
世田谷区には既に、「ゆる部活」は10校。そのうちの一つと、神奈川県の公立高のヨガ同好会を視察したスポーツ庁の鈴木大地長官は、「スポーツの幅はこんなに広いのだということを伝えていく必要がある」と話した。
もちろん、勝利に向け、頑張ることは大事だ。ただ、スポーツへの接し方は色々あっていい。多様性を認めることは生涯にわたってスポーツを楽しめる人が増えることにもつながる。(解説/朝日新聞編集委員・中小路徹)
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2015年に文部科学省の外局として設置された。20年の東京五輪・パラリンピックに向けたトップ選手の強化・育成だけでなく、学校の部活動やお年寄りの健康増進といったスポーツ政策全体を担う。
※月刊ジュニアエラ 2019年3月号より