■天文学者は次の使者を待ち望んでいる
オウムアムアは、これまでにわかっていることが少ししかない。宇宙人の探査機説は興味深いが、どこまで信じていいのだろう? 太陽系内の小天体や流れ星の研究者・佐藤幹哉さんは、次のように話す。
「太陽系の中でさえさまざまな形の小惑星(※4)や彗星があるので、太陽系以外の恒星系(恒星を中心とした天体のグループ)に、オウムアムアのような姿の天体があってもおかしくありません。いちばん可能性が高いのは、そういう天体が何らかの力ではじき飛ばされて太陽系にやってきたということでしょう。ただし、データが少ないので宇宙人の探査機説を完全に否定することも難しいのです。今後また同じような天体が見つかって、じっくり観測できたら、もう少し詳しいことが議論されるでしょう。世界中の天文学者がその機会を待ち望んでいると思います」
……ということなので、オウムアムアがいつ、宇宙のどんなところでできて、どのようにして太陽系までやってきたのかは、今もナゾのままだ。このページを見ながら自由に想像してみよう。(文/上浪春海)
(※1)彗星=太陽に近づくと、その熱でガスなどを噴き出す太陽系内の小天体。本体は氷や岩石、チリなどからできていて、いびつな形をしているものも多い。
(※2)天の川銀河=約10万光年の直径をもつ渦巻き形の銀河。このような銀河が宇宙全体には1千億個以上あると考えられている。
(※3)光年=光は1秒間に約30万キロメートル進む。その光が1年かかって進む距離。1光年は約9兆5千億キロメートル。
(※4)小惑星=太陽の周りを公転している小天体のうち、ガス等の噴出のない天体。主に岩石でできているが、氷を含むものも。はやぶさ2が到着したリュウグウもその一つ。
【地球人の惑星探査機ボイジャー 太陽系から宇宙の彼方へ】
1977年に打ち上げられ、木星・土星・天王星・海王星などを探査したボイジャー1号と2号は、現在、太陽系から離れつつ、宇宙の彼方へ向かっている。両機には宇宙人に地球や地球人のことを紹介する音声や写真を記録したディスクも積んである。地球人がこんな探査機を太陽系の外に向けて飛ばしているのだから、宇宙人の探査機がやってきても不思議ではないかも……。
※月刊ジュニアエラ 2019年2月号より