
「自分はどんな仕事をすべきか」は人生を通して終わることのない問いだろう。お金、働きやすさ、やりがい、安定……どれも大事な要素だが、「好きだから」というのも忘れてはいけないポイントだ。自分の「好き」に向かって飛び込んだ、お笑い芸人でゲームクリエーター・野田クリスタルさんが語った。AERA 2023年4月10日号の記事を紹介する。
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「すごい違法な方法で『もも鉄』を無料でダウンロードできたから、やってみるか。って、これ『太ももが鉄のように硬い男 てつじ』じゃねえか」
マヂカルラブリーの野田クリスタルさんが「R-1ぐらんぷり2020」で優勝したネタは、ゲーム実況だった。
実況したゲームは、野田さんが一からプログラミングして作った。通称「野田ゲー」だ。
Windowsのペイントで描いたキャラクターは、ゆるゆる。突っ込みどころがあり、“クソゲー感”がにじむ。それが野田ゲーの味だ。
■ゲームで満たされたい
野田さんは約10年間、数々の野田ゲーを作ってきた。その集大成として総監督を務めたNintendo Switchのゲームソフト「スーパー野田ゲーPARTY」「スーパー野田ゲーWORLD」は、2タイトル合計で15万本以上の販売本数を誇る。
プログラミングはとても地道。なぜ野田さんはプログラミングを続け、しかも仕事にすることができたのか。
幼稚園に行く前に30分だけ、「ファイナルファンタジーIII」をプレーすることが許されていた。小学生のときは「バイオハザード」にはまったという。
「現実でも学校の中が、もしもバイオハザードになったら……という妄想をずっとしてたんですよ」
この建物は、研究所に繋がるんじゃないか。このドアの先に1回も行ったことがないけど、何かにつながっているんじゃないか。
「世界を2Dで作ってみたい」
スーパーファミコンの「RPGツクール」というゲームソフトで、RPGゲームを作った。バイオハザードのようなゲームを作ろうとしたが、いろんな発想がわいてくる。作っては途中でやめて……の繰り返しだった。