すずき・りょうへい/1983年、兵庫県出身。2006年に俳優デビュー。4月28日に映画「TOKYO MER~走る緊急救命室」が公開予定/hair & make up 宮田靖士(THYMON Inc.) styling 臼井 崇(THYMON Inc.) costume ブリオーニ〈ブリオーニ〉
すずき・りょうへい/1983年、兵庫県出身。2006年に俳優デビュー。4月28日に映画「TOKYO MER~走る緊急救命室」が公開予定/hair & make up 宮田靖士(THYMON Inc.) styling 臼井 崇(THYMON Inc.) costume ブリオーニ〈ブリオーニ〉  photo 写真映像部・加藤夏子 映画「エゴイスト」は2月10日(金)全国公開/公式サイト www.egoist-movie.com

 2月10日に公開される映画「エゴイスト」で主人公の浩輔を演じた俳優の鈴木亮平。性的マイノリティーの当事者に責任を持って、専門家と丁寧に作品を作り上げた。AERA 2023年2月13日号より紹介する。

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「今回、自分にはふたつの責任があったんです。主人公・浩輔としての演技をするということが一つ。もう一つは自分が世の中にこの作品を出す上で、性的マイノリティーの当事者に対して責任を持つということです」

 と慎重に言葉を選びながら、柔らかい口調で話す鈴木さん。映画「エゴイスト」はオープンリーゲイのエッセイストとして活躍し、2020年に他界した高山真さんの自伝的小説が原作だ。鈴木さんは高山さん自身に重なる主人公・浩輔を演じている。

「映画の主題もセクシュアリティーだけではありませんが、主要登場人物のうち2人がゲイという設定です。偏った表現などがあってはいけないですし、きちんとしたクィア映画に仕上げたい、という思いがありました。本や映画で自分なりに学び、かつ高山さんを知る多くの方々に話を聞きました。といっても、実在の人の物まねをするのではなく、多角的な情報を自分のなかに入れ、自分と混ぜて人物を作り上げていくイメージです」

 田舎町でセクシュアリティーを隠して思春期を過ごした浩輔は、いま東京で自由に暮らしている。話し方やしぐさはLGBTQ+インクルーシブディレクターのミヤタ廉さんが監修した。

「いわゆる“オネエっぽさ”の表現をどうするかなどを、ミヤタさんと細かく話し合いながら作り上げました。ステレオタイプ的にならないように、しかしそうした要素をまったくなくすことは、モデルとなった作者のアイデンティティーを漂白してしまうことにもなる。2020年代の日本に出す映画として、どのさじ加減で表現することが適当なのか。当事者にとって、当事者以外にとってどう感じるのか、慎重に毎シーンごとに確認しました」

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