5年生の夏休みは、受験生にかなり大事な時期となります。算数でいうと、塾では学校より一足先に、「割合」と「速さ」という抽象概念を扱い始めます。この年齢の子どもたちにはなかなか難しく、理解に差が出るのは確かで、多くの子どもたちがつまずく算数最大の壁ともいわれる分野です。夏休み明け以降、「割合」はあらゆる分野にかかわってくるため、夏はこの単元を集中的にマスターすることをおすすめします。夏休みに基礎固めをしておけば、この先の勉強がグッと楽になるはずです。

■割合・速さ・平面図形

 中学受験の天王山でもある6年生は、お盆期間を除き、ほぼ毎日、夏期講習があるので、家族一丸となってスケジュールを立てることが大事です。「受験生としてどういう夏にするか」「どう家族は応援するか」を話し合い、心を一つにしましょう。

 大手進学塾の夏期講習では、夏休み前までに受験に必要な単元はひと通り終わったことを前提とし、どんどん問題を解いていく演習スタイルとなります。丁寧に基礎から解説してくれることはないと思ってください。上位・中位クラスの子たちは演習問題に食らいついていけますが、下位クラスの子は基礎固めができていないため、ついていくのは大変です。親御さんは“塾に行かせているから安心”ではなく、お子さんの様子を見て、補強が必要な部分は、講習外で先生に聞きに行かせたり、個別指導や家庭教師に頼んだりと、基礎を一から勉強できる工夫をしてあげましょう。

 6年生の夏期講習では宿題がたくさん出ます。全部こなすことは不可能なので、無理してこなそうとせず、優先順位をつけて、重要分野から重点的に復習することをおすすめします。算数ならば「割合/速さ/平面図形」に該当しますが、他科目も塾の先生に聞いてみましょう。苦手な分野は、5年生のテキストに戻れば、丁寧な解説と基本問題が載っています。

 6年生は志望校も徐々に固まってきて、お子さんに必要なサポートも細分化されていくので、体調管理も含めて、親御さんが上手に取捨選択し、支えてあげることが求められます。

(構成/AERA with Kids編集部・橋爪玲子)

AERA 2021年7月19日号より抜粋

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AERA編集部
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