これからの宇宙開発はどうなるの? 月や火星を目指す計画はどのぐらい進んでいる? それ以外の計画は? 小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」4月号では、「宇宙開発 最前線」を特集。国立天文台天文情報センター国際普及室長の縣秀彦さんに宇宙にまつわる疑問について聞いた。

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――火星や月を目指す計画はどのぐらい進んでいるの?

 火星には、アメリカ、中国、UAEの三つの国の探査機が、今まさに調査を進めているところだ。生命のあった痕跡が見つかるか、楽しみだね。

 月を目指す「アルテミス計画」の第一歩として打ち上げられるのがSLS(スペース・ローンチ・システム)。巨大サイズのロケットで、計画では、有人宇宙船オリオンを月まで運ぶ大切な役割を担う。そのためのテストを無人の状態で行うんだ。今年11月に打ち上げ予定で、13の超小型探査機も相乗りする。注目は、その中に日本からの2機「エクレウス」と「オモテナシ」も含まれていることだ。

――日本の超小型探査機は月で何をするの?

 どちらも技術の実証実験が目的だ。「エクレウス」は、月の裏側の狙った地点まで効率よく飛行する技術、「オモテナシ」は、確実に着陸する技術の確立を目指す。大学や企業、個人でも月を目指す未来につながると期待されているよ。「オモテナシ」は、成功すれば月着陸した探査機として世界最小、日本の探査機としては初になる。

――月や火星を目指すほかにはどんな計画が進んでいるの?

「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が今年の10月末にも打ち上げられる予定だよ。

――「宇宙望遠鏡」って?

 宇宙空間に打ち上げられた天体望遠鏡のことで、地球の大気に邪魔されずに宇宙の姿をとらえることができるんだ。今も、1990年に打ち上げられた「ハッブル宇宙望遠鏡」が地上約600キロメートル上空を回りながら観測を続けている。宇宙の鮮明な画像をたくさん撮影して、さまざまな成果をもたらしてくれたけれど、30年以上も経って古くなってきたから、新しく打ち上げることにしたんだよ。

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AERA編集部
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