――メロディーも歌詞もほぼ1日で作り上げた。最初から決めていたのは「愛の歌を歌いたい」ということだ。

三浦:世の中では、強い発言力やとげのある言葉がフォーカスされることが多い。でも、例えば誰かへの誹謗中傷に対して、「おれはあの人のこと好きだけどな」って思うことだってある。けれども、そういう肯定的な言葉は、わざわざ外に向けてつぶやかれない。理想論を語っても「きれいごとだね」って鼻で笑われるかもしれませんが、笑われてもいいから、僕はいま、愛を伝える歌が必要だと思ったんです。こんな時期でも、誰かが誰かを想う気持ちはたくさんあって、愛のある人はたくさんいるはず。アーティストとして、ものづくりをする上で、サイレントマジョリティーの存在を大切にしたいと思いました。

■尊重し合える良さ

――カップリングに入る楽曲「Yours(ユアーズ)」は6月18日にデジタルリリースされた。「これは人生」「誰のものでもない俺の物語」「何をどうするか選び続けたい」という歌詞に、SNS上では「自分の歌だ」と共感の声が上がった。

三浦:うれしいです。歌詞作りには苦手意識があるんです。だけど、自分がちゃんと感じたことを言葉にしようという思いはあります。自分がストーリーテラーになって生まれる歌詞もありますが、「Antelope」も「Yours」も、こういう時代だからこそ、自分がいま思ったことをきちんと作品に反映したいと思って作りました。

 自分の場合、歌詞が「降りてくる」みたいなことがないので、考えて、考え抜く。「Antelope」は愛というテーマを決めていたので比較的スムーズでしたが、サビの最後の行や締めの言葉をどうするかは、めちゃくちゃ悩みました。いつも、搾り切った最後に出てくる、「この1滴を待ってる」という感じです。出ないときは考え続けない。シャワーを浴びたり、自分の好きなゲームをしたり、一回適度に離れることを心掛けています。ダンスの振り付けも同じです。スタジオで4、5時間かかる予定で時間をとっていても、1時間やってみて「あ、これ絶対出ない」と思ったら、潔く切り上げて帰ります。

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