安浪 ちなみに、私立に行ってうまくいっているケースはあるのですか?

田上 公立小の校長をしていたとき、ギフテッドタイプのとても優秀な子で成功した子はいました。その子は小学校4年生くらいから自分の特性がわかり始めていましたね。学校の勉強がつまらないと言いだして不適応になりかけたのですが、「君はギフテッドでこれだけの能力があるのだから」と言い聞かせたところ、家でも自分からいろいろな課題をやりだしたようです。最終的に私立の難関校に行き、今はマスコミに出るくらい、ある分野で活躍しています。

木村 私立に行ってうまくやれる子とやれない子がいますよね。

田上 そうなんです。特別選考で私立に入ったけれど、やはり厳しくて途中からN中に変わった子もいます。

木村 私立に行ってうまくいっている子は、オンライン教材を自分で選べるなど、自分の特性を自分でわかっている子たちなんです。要は自分で選択ができる。そうした子たちはおそらく、どこに行っても大丈夫だと思います。反対に「みんなはどうしているのか」でやっている子は、ツールをどう変えてもうまくやっていけず、ついていけなくなります。それを考えると、年齢や発達に応じて、自分のことを自分で考えていく力をつけてやることが大切ですよね。自分の特性がどういうもので、どうすればリカバリーできるのかという方法を自分事にしてあげないといけない。セルフマネジメントと呼んでいますが、それができる力を低学年から少しずつ身につけさせてあげることで、中学受験に関しても、高学年になったときに自分はどうしたいのかを自分の言葉で言えるようになるだろうと思っています。(取材・文=八木沢由香)

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八木沢由香
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