最近、「哲学」が注目を集めています。実は、子どものユウウツと向き合うにも哲学は効果的。哲学を取り入れた対話で、子どものユウウツをいろいろな角度から眺めてみるのはいかがでしょう。子どもを対象に「哲学カフェ」を実施する河野哲也先生に聞きました。発売中の「AERA with Kids2023年秋号」からご紹介します。

MENU 「なぜ?」を使ってユウウツを分解しよう 考え方が身につくことで自ら答えを出せる子に

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「なぜ?」を使ってユウウツを分解しよう

 子どものユウウツごとに対して、親はすぐに「早く解決してあげたい!」と思ってしまうものです。でも、そこで踏みとどまり、子どもと「ユウウツ」について考えてみる。そんな向き合い方もあります。それが「哲学的対話」です。

 哲学と聞くと「なんだか難しそう」と感じられるかもしれませんが、哲学とはそもそも“考える”作業。子どもを対象に「哲学カフェ」を実施する河野哲也先生は「自分たちの振る舞いや行為、社会の仕組みの“いちばん根本的な理由”について考えることが哲学です」と話します。

「たとえば、子どもが『学校に行きたくない』と言うとき、『なんで学校に行きたくないの?』ではなく、『そもそも、なんで学校に行かなくてはいけないんだと思う?』と、学校に行く根本の理由を一緒に考えてみます。とことん対話をしていくと、子どもは自分の気持ちを整理することができます」(河野先生)

 さらに新しい見方に気づいたり、視野が広がったり、子どもの思いが見えたりと、親子ともに得られるメリットはたくさんあります。哲学的対話の進め方の基本は、「なぜ」で問いかけ、対話を進めていくこと。

「正解はありませんし、途中で考えが変わってもいい。大切なのは、子どもが自分なりに答えを見つけていくこと。ですから、親はどんな答えが返ってきても耳を傾け、受け入れる姿勢をもちましょう」

「いや、そうじゃなくてこうじゃない?」など、つい大人の考え方に誘導しそうになりますが、それはNG。「導いてあげなくては」という思いから離れてフラットに向き合い、方向づけをしないことが哲学的対話のポイントです。

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八木沢由香
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