コッホ、パスツール、フレミング… 感染症との戦いで名を残した偉人たち

朝日新聞出版の本

2020/04/26 17:00

<中世ヨーロッパで大流行 ペスト>
 過去に3回、世界的に大流行した。14世紀のヨーロッパの流行では人口の約3分の1が死亡したとも。「悪性の空気」が感染源と信じられ、17~18世紀の医師は全身をガウンで覆い、鳥の頭の形をしたマスクに眼鏡、長い棒を持って治療にあたった。またペスト退散を祈るペスト塔が建てられた。

●「敵」の正体がわかった

<病原体の正体のひとつは「細菌」>
 特定の病原体(細菌)がある特有の感染症を引き起こすことを証明したのがドイツの医学者ロベルト・コッホ(1843~1910年)だ。彼は微生物や細菌を色素で染めることでうまく観察する方法を考案。これにより、コレラ菌や結核菌など、感染症の原因となるさまざまな細菌を見つけることができた。

<もうひとつの病原体「ウイルス」を解明>
 天然痘やインフルエンザなどの病気を引き起こす「ウイルス」は、細菌より小さいため、ふつうの顕微鏡では見ることができず、なかなか発見されずにいた。初めてウイルスの結晶化に成功し構造を明らかにしたのがアメリカの生化学者であるウェンデル・メレディス・スタンリー(1904~71年)だ。

●予防のための「ワクチン」 予防医学の基礎をつくった

 フランスの化学者ルイ・パスツール(1822~95年)は、感染症を予防するワクチン注射の方法を開発した。毒性の弱まった病原体をヒトに打つことで、病原体に対する抵抗力(抗体)ができる。抗体を獲得できれば、その病気にかかる可能性が低くなる。この人間の免疫作用を利用し、わざと症状のとても軽い病気にかからせて、人工的に抗体をつくることで、感染症にかからなくするのがワクチンのしくみだ。

●病原体に作用する薬 細菌を殺す抗生物質を発見した

 イギリスの医師アレクサンダー・フレミング(1881~1995年)は、感染症の原因となる細菌を殺す世界初の抗生物質、ペニシリンを発見した。抗生物質は、カビや細菌によって作られ、ほかの微生物や細菌が増えるのを抑えるはたらきを持つ物質だ。フレミングが発見したペニシリンは、約10年後にオックスフォード大学の研究者ハワード・フローリー(1898~1968年)とエルンスト・ボリス・チェイン(1906~79年)によって結晶化(精製)され、治療薬として大量生産できるようになった。開発当時は、第2次世界大戦の真っ最中だったため、負傷した多くの兵士がペニシリンによって命を救われた。

※月刊ジュニアエラ 2020年5月号より

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