たばこ押しつけ「マジ殺すぞ」 話題の“虐待VR動画”、制作者の願いとは? (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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たばこ押しつけ「マジ殺すぞ」 話題の“虐待VR動画”、制作者の願いとは?

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野村昌二AERA
【VR動画】ベランダ/ベランダで父親が子どもの手にたばこを押し付ける

【VR動画】ベランダ/ベランダで父親が子どもの手にたばこを押し付ける

【VR動画】室内/両親が子どもに洗剤を飲ませようとする

【VR動画】室内/両親が子どもに洗剤を飲ませようとする

VRゴーグルを手にする西江祐哉さん。VRゴーグルを装着すると、母親の怒りや両親の虐待の様子が、よりリアルに疑似体験できる(写真:西江祐哉さん提供)

VRゴーグルを手にする西江祐哉さん。VRゴーグルを装着すると、母親の怒りや両親の虐待の様子が、よりリアルに疑似体験できる(写真:西江祐哉さん提供)

 子どもの目線で児童虐待を疑似体験できるVR動画。つくったのは、うつになり生きる存在意義を探した会社経営者だ。リアルな描写が、反響を呼んでいる。AERA 2019年12月2日号は、動画制作者に経緯や目的を聞いた。

【両親が子どもに洗剤を飲ませようとする動画も…】

*  *  *
「いいから早く食べなさいよ!」

 マンションの一室。両親が言い争いを始め、ご飯を食べない子どもに母親が怒りをぶつけた。子どもが泣き始めると、

「なんで泣くの! あたしが悪いみたいじゃないのよ!!」

 と大声を出し、「外に立ってなさいよ」と叫んだ。それを見た父親はいら立ち、子どもに「お前、もう一回、外出ろ」と怒鳴り声を上げる……。

 子どもにとって逃げ場のない世界が、VR(バーチャルリアリティー)ゴーグルとイヤホンを通して迫ってくる。これは、児童虐待の様子を再現した動画「児童虐待体験VR」試作版のワンシーン。子どもの目線で児童虐待を疑似体験できる仕組みになっている。両親を演じているのは、劇団に所属している役者と俳優だ。9月27日、YouTubeで公開されると、あまりのリアルな描写に大きな反響を呼んだ。

 動画を制作したのは、映像制作会社「WESTE&Co.(ウェスト アンド カンパニー)」(横浜市鶴見区)代表の西江祐哉さん(36)だ。実際に昨年、横浜市で起きた児童虐待事件を再現しているという。

「数ある社会問題の中で、もっとも心を痛めていたのが児童虐待。何とかしたいという思いがずっとありました」 

 数年前、西江さんはうつを発症。自分の存在意義を見失い、どうすれば人生に価値を見いだせるか自問自答を繰り返した。たどり着いたのが「人助け」。長年心を痛めていた児童虐待の防止活動だった。今年1月に会社を設立すると「世の中の負を引き上げる」という理念を掲げ、本業の合間にVR動画制作にとりかかり数カ月かけ完成させた。

 動画は6分54秒。物語は、三つのシーンで構成される。まず冒頭で紹介した「室内での食事」で、両親がなかなかご飯を食べようとしない子どもに大声で怒鳴り散らす。次は「ベランダ」のシーン。ベランダで父親が子どもの手に火の付いたたばこを押しつけ、「マジ殺すぞ」などと脅したりする。最後は再び「室内」に。両親が「おいしいよ」「きれいになろうね」などと言いながら、子どもに洗剤を飲ませようとする。


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