織田信長も削った?正倉院宝物の香木の数奇な歴史 里中満智子が魅力を語る (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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織田信長も削った?正倉院宝物の香木の数奇な歴史 里中満智子が魅力を語る

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衲御礼履/正倉院展 752年の大仏開眼会で聖武天皇が履いたものと考えられている。長さ31.5cm、幅14.5cm。内側は軟らかい鹿革を、外側は牛革を赤く染めたものを用いている(奈良)(写真:宮内庁正倉院事務所提供)

衲御礼履/正倉院展 752年の大仏開眼会で聖武天皇が履いたものと考えられている。長さ31.5cm、幅14.5cm。内側は軟らかい鹿革を、外側は牛革を赤く染めたものを用いている(奈良)(写真:宮内庁正倉院事務所提供)

「東大寺の儀式ではシルクロード由来の品々が数多く使われていた。西の文化が先進的という意識があったのでは」と語る里中満智子さん/東京の事務所で(撮影/写真部・片山菜緒子)

「東大寺の儀式ではシルクロード由来の品々が数多く使われていた。西の文化が先進的という意識があったのでは」と語る里中満智子さん/東京の事務所で(撮影/写真部・片山菜緒子)

 正倉院宝物と法隆寺献納宝物が一堂に会する特別展「正倉院の世界─皇室がまもり伝えた美─」が東京・上野の東京国立博物館で10月14日から始まった。「御即位記念第71回正倉院展」も奈良国立博物館で同26日から開かれている。今回、初公開となる品々を含む両展の見どころはどこなのか。持統天皇の生涯を描いた『天上の虹』など、古代を舞台にした多くの歴史漫画を世に送り出してきた漫画家の里中満智子さんに聞いた。AERA 2019年11月11日号に掲載された記事を紹介する。

【写真特集】正倉院宝物の美 誠実な手仕事にうっとり

*  *  *
 正倉院宝物は大好きなんです。いつも見る度にうっとりとしてしまって。何より感動するのは、よくちゃんと美しいままで残してきたなということですね。傷みやすい品々を湿気の多いこの国で守って伝えていくのは大変なことだと思うんです。これまで大事に残してきてくれた人たちに「ありがとうございます」といいたくなる。

『天上の虹』の単行本では、毎回、裏表紙に正倉院宝物を描きました。実際、作品を描く際に参考にしていましたし。

 鏡、厨子、玻璃の碗……。主な宝物は大体とりあげました。次、何にしようかと考えるのが楽しみだった。ただ、実物とはちょっぴり違えて描いてある。あくまで私の想像の産物です。

「平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)」とか、当時の職人さんが誠実に作ってあるのが見て取れて、本当にすばらしい。実物は写真より透明感があって色に深みもある。

 こういう鏡は手鏡として使うのは無理で、イーゼルのようなものに架けて使っていた。実用品というより権威の象徴だったと思うのですが、鏡は昔から魔除けのための道具でもあったんです。

 私、若い時、こういう美しいものや華美なものって、実はあまり好きじゃなかったんですね。華美なものというのは、権力と結びついていることが多いから。ですが、正倉院にはザルとか籠とかいった日用品のようなものまでが入っているんです。そこがすごいと思う。

 正倉院宝物は聖武天皇(701~756)の后だった光明皇后(701~760)が、756年に亡き天皇の魂の安寧を祈って東大寺に奉納した品々などがもとになっています。


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