小学4年生になると、今までは好きだった算数が苦手になってしまった、という声をよく聞きます。小5、小6とさらに難しくなっていく算数のつまずきの原因が、小4算数に起因していることもあるのだとか。『AERA with Kids秋号』「小4算数の壁」では、どんなことにつまずくのか、どのような「数センス」をつけておくといいのかについて紹介しています。

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 小学校算数の中では第2ステージともいえる小4算数。それまでの学習とは違って抽象的な思考が始まるともいわれ、試行錯誤や頭の中で思考を深めながら解く問題が増えてきます。

「小学3年生まではひとつの正しい答えを出せばよかったのに、4年生からはおよその数(がい数)でざっくりと数を出したり、ケタ数の多い割り算で数を丸めて見当をつけたりすることが出てきます。このように見当をつけて数をイメージするなど抽象的な思考が始まるので、子どもたちはつまずきやすいんです」

 こう話すのは早稲田実業初等部教諭の岡部寛之先生です。

「小4はまだ生活経験がさほど豊富ではないので、答えを予測して見当をつけたり、少し抽象的な文章を読み解いたりすることが難しい時期。つまずきやすい単元はいくつかありますが、暗記など機械的に覚えることではなく、数のしくみなどをきちんと理解するよう見てあげてほしいですね」(岡部先生)

 では、早速つまずきやすいポイントと、具体的な克服法を見ていきましょう。

つまずきポイント(1):桁の多い割り算のひっ算で、計算に時間がかかりすぎる
【克服法】「割られる数」「割る数」をおよその数に丸めるようにする。

 小4算数つまずきの代表といえば「割り算」。子どもは暗算で商を立てるのにとても苦労します。例えば677÷17を考えてみましょう。はじめに行うのは「67÷17」ですが、大人なら、「67は大体70くらいだな」「17は大体20くらい」とざっくりと数を丸めて「70÷20」をイメージすることを知っています。しかし、子どもはそれまで数を大体でとらえることをしたことがないため、2桁以上の割り算に時間がかかってしまうのです。
「克服法は、慣れるまでは家庭でも『これってだいたいいくつかな?』と考えられるよう声をかけてあげることです。やっていくうちに数の丸め方に慣れて、答えをイメージしやすくなります」(岡部先生)

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AERA編集部
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