【フランス】


<税率20% 食料品は5.5%>
 付加価値税はフランスで初めて導入され、1968年から今のような形になった。フランスの付加価値税の特徴は、逆進性に配慮していることだ。3種類の軽減税率を設け、食料品や水、薬、医療器具など生活必需品の税率を低くして、収入の低い人の負担を軽くするしくみを取り入れている。

【クウェート】
<消費税0% しかも教育費無料!>
 石油埋蔵量世界7位と天然資源に恵まれたクウェートは、砂漠の国だが都市部には近代的なビルが立ち並ぶ。将来的には付加価値税の導入が予想されるが、現在のところ所得税も付加価値税もない。莫大な石油収入があるため、公共の医療施設の医療費と学校の教育費は無料だ。

【中国】
<16~0%の間で4種類>
 日本の消費税に当たる増値税の税率は、4種類ある。一般的な商品などは16%だが、穀物や食用油などの特定品目、郵便サービスなどは10%、ほかにも6%、0%があり、品目や納税者の条件によって変わる。高級化粧品や宝石などのぜいたく品には、別の税金がかかる。

■キーワード
<軽減税率>
食料品など生活必需品の税率を、ほかの商品やサービスにかかる税金よりも低くする制度。消費税は、誰でも同じ割合でかかるため、所得が少ない人ほど実質的な負担が大きくなる逆進性がある。それを軽くするための対策のひとつ。イギリスやフランス、ドイツなどヨーロッパを中心に多くの国で取り入れられている。日本では、2019年10月に消費税率を10%に引き上げるときに導入する予定。

<国民皆保険>
すべての国民がなんらかの医療保険に加入し、けがや病気になったときに医療が受けられる制度。加入者がお金を出して互いに助け合うしくみだが、国や地方公共団体からの税金も一部使う。先進国の多くはこの制度を導入している。アメリカでは前のオバマ大統領が初めてこれに近い制度(オバマケア)を2014年に開始したが不十分な点が多い。また、現在のトランプ大統領はオバマケアを廃止しようとしている。

<逆進性>
お金のある人よりもない人のほうが、負担の割合が高くなる性質。反対は累進性。

■メモ
 日本の所得税は、所得が多ければ多いほど税率を高くする累進性の制度を導入しています。ところが、1980年代から徐々に所得税の累進性を弱めて、特に所得が多い人の税率を低くしました。

※月刊ジュニアエラ 2019年3月号より

ジュニアエラ 2019年 03 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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