実際、中3のKくんも「スコラ手帳に切り替わってから、部活のある日とない日、テスト前など、その日に合わせて自分で勉強時間や内容を決めることで目標がより立てやすくなりました。JSノートのときは自分の行動を記録するという感じでしたが、スコラ手帳は『これからどう過ごすか』を書くのがメイン。授業や勉強を含めて予定ややることリスト、振り返りや次週の目標の覚書を簡単に記録して、記憶に残るようにしています」と使いやすさを実感しているようです。

 一方、千葉県の市川中学校・高等学校では、2017年から中3以上の生徒一人ひとりにタブレットを配布し、ICT(情報通信技術)を活用した授業の開始に合わせて、生徒が自分で学習管理をするようになりました。

 生徒たちが積極的に活用しているのは日々の学びの記録をし、振り返りができる「Classiポートフォリオ」というアプリ。学習内容のバランスを確認したり、学習時間を把握したりと管理がしやすいと生徒たちからも好評です。

「学習内容が偏っていないかがすぐにわかるので、翌日の学習計画が立てやすくなりました。やることのリスト化できるコーナーも便利で、常に全体像が把握できるのもいいですね」(中3・Kくん)

 タブレットは中3からの使用となっているようですが、中1から持ちたいということはなかったのでしょうか。

「もし中1から持っていたら、活用するより遊びたい気持ちになっていたかもしれません。1、2年で定期テストの予定は紙で立てていましたが、その経験を踏まえて3年で使うと、『学習に向き合うためのもの』という気持ちに自然となっています。1年だったら楽しすぎて学習のため、と直結していたかどうか……。自分は中3でよかったと思いますね」(中3・Nさん)

 学習管理をしながら分からないことがあれば先生にメールで質問できるのも魅力のひとつ。先生からの返信は翌日に持ち越さずに来るので、ペースを崩さずに進められるので助かっているそうです。「自分で学習計画を立てて自己分析をし、足りないものを補い、全体のバランスを考えることから、生徒の学習意欲が上がるという効果は出ていると思います」と学年主任の伊川秀憲先生も効果を実感しています。

「ただ、便利ではあるけれど、あくまでツール。頼りすぎないようにしたいですね。教師も生徒も過剰負担とならないよう、全体のバランスも見ながら進めていこうと思っています。アプリは学生生活で必要であれば、申請してダウンロードできますが、もちろんゲームなどはNG。あくまで学習のための一つの道具として便利に使っていきたいですね」(伊川先生)

 手帳もタブレットのどちらにしても、時間全体を俯瞰して、効率的に学習に向き合えるのは同じようです。中学生からは自分で時間を管理ができるよう、今一度親子で考えてみるのもいいかもしれませんね。

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AERA編集部
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