訪日外国人観光客が、初めて3千万人を超える見込みだ。日本経済に与える影響は? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された記事を紹介する。

5年連続でトップに輝いた「伏見稲荷大社」(京都府) (c)朝日新聞社
5年連続でトップに輝いた「伏見稲荷大社」(京都府) (c)朝日新聞社

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 東京、大阪の大都市だけでなく、近ごろは地方でも外国人観光客の姿をよく見かけるようになった。2018年に訪れる外国人は3千万人超えとなる見込みだ。

 それにともない旅行消費額も伸びている。ここでいう旅行消費額とは、日本滞在中に支払った宿泊代金や食事代、土産物品の購入代金等をさす。13年は1.4兆円だったものが、17年は4.4兆円と、3倍以上に急増した。訪日外国人の、日本経済に与える影響は大きい。

 急速に拡大した要因の一つに、日本に入国するときに必要な査証(ビザ)の緩和があった。日本を訪れやすくするために、段階的に、ビザをとりやすくしたのだ。

 また、近ごろでは地方の空港や港湾も外国人観光客を呼び込もうと、滑走路や客船ターミナル、港の岸壁などの整備を進めている。

 そのため、観光ルートも東京~大阪間の「ゴールデンルート」から、分散する傾向にある。地方自治体も、地元の空港や港湾発着の新ルートの開発に乗り出したのだ。例えば、中部空港(愛知)を起点に、北陸へ抜ける「昇龍道プロジェクト」や、京都丹後鉄道を経営するWILLERが日本海沿岸の市と組んでの「日本海縦断観光ルート・プロジェクト」などだ。

 日本政府は、20年に4千万人の誘致目標を掲げている。ラグビーW杯2019や、東京2020オリンピック・パラリンピックが控える今、外国人観光客はうなぎ登りに増えそうな予感だが、実は課題もある。

 アジアを中心とした世界的な国際観光客数の増加で、航空機が足りなくなるというのだ。国内の空港も、容量がオーバー気味になっている。近年の気候変動に伴う自然災害の激甚化も気になるところだ。

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AERA編集部
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