東京地検特捜部の家宅捜索後、日歯連の評議委員会で釈明する高木幹正前会長/6月、東京都千代田区 (c)朝日新聞社 @@写禁
東京地検特捜部の家宅捜索後、日歯連の評議委員会で釈明する高木幹正前会長/6月、東京都千代田区 (c)朝日新聞社 @@写禁

 日本歯科医師連盟に再び東京地検特捜部の捜査のメスが入った。日歯連とは、どんな組織なのか。リスクを冒してまで、何を手に入れようとしていたのか。

「罪の意識はなかったと思いますよ。手順通りに送金している感覚だったんじゃないのかな」

 都内で開業する歯科医師の男性(45)はサバサバとした表情で話す。日本歯科医師連盟(日歯連)の会員で、複数の関連団体に合わせて年間10万円ほどを「上納」してきた。事件に特段の感情はないという。

 逮捕された日歯連前会長の高木幹正容疑者(70)ら3人は、2013年の参院選前、石井みどり参院議員(自民)の後援会に、西村正美参院議員(民主)の後援会経由で寄付。政治資金収支報告書に虚偽の記載をした、などの疑いがある。両議員はともに歯科医師だ。政治資金規正法が定める寄付の年間上限額5千万円を超える資金を投入しようとしたとみられるが、

「世間が思うほど歯科医は稼いでない。僕もお金ないですもん。診療報酬アップは歯科医の切実な願い。だから政府と交渉する議員は大切で、当選させるためなら、と高い会費を払うんです」(前出の歯科医師男性)

 歯科医師が診療で得る報酬は、厚生労働省が定める「診療報酬」で決まる。2年ごとの改定で、医科、歯科、調剤に予算が割り振られる。優先されるのは「医科」だ。初診料は医科2820円に対し、歯科2340円。再診料も医科のほうが270円高い。

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