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STAP問題に幕 理研に「チャンス閉ざした」の声

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世紀の発見と騒がれたSTAP細胞論文の会見時、こんな結末を誰が予想しただろう (c)朝日新聞社 

世紀の発見と騒がれたSTAP細胞論文の会見時、こんな結末を誰が予想しただろう (c)朝日新聞社 

 世間から注目を浴びたSTAP細胞問題に、幕が下ろされた。だが、小保方晴子さんに、実質的な処分はない。刑事告訴や研究費返還請求も理研は検討しているという。

 この1年の騒動は何だったのか。STAP細胞論文問題に理化学研究所(理研)が幕を引いた。調査委員会の最終報告を受けて、2月10日、関係者の処分を発表した。

 小保方晴子元研究員は、「懲戒解雇相当」とされたが、すでに退職しており、実質的な処分はない。規定に基づく懲戒処分は、理研元発生・再生科学総合研究センター(CDB)の竹市雅俊元センター長(現特別顧問)のみ。譴責(けんせき)で、自主的に給料10分の1を3カ月返納する。

 会見では、野依良治理事長など経営陣の処分や責任についての質問が相次いだ。しかし、堤精史人事部長は、

「経営責任は、給与の自主返納と改革への行動計画の遂行で果たしている」

 昨年10月、野依理事長と5人の理事は、給与の一部を自主返納すると発表している。もっとも、非常にずさんな研究の実態とそれが見逃されていたことが明らかになった外部委員による最終調査報告の発表は、12月26日だった。その後、経営陣の新たな対応はない。

 報告を振り返ってみよう。STAPの正体は胚性幹細胞(ES細胞)だったとほぼ断定した。もともとSTAP細胞はなかったという結論だ。

 調査委は詳細に科学的事実を積み上げた。STAP細胞を特殊な条件で培養したという「STAP幹細胞」など4種類の細胞の遺伝子を詳しく調べ、論文共著者である若山照彦・山梨大学教授の研究室で作製された3種類のES細胞のいずれかと酷似していることを突き止めた。

 実験操作のミスで、ES細胞が何度も繰り返し混ざるとは考えにくく、「故意」の疑いがある。ただし、STAP細胞の保管場所には多くの人が近づくことができ、誰がどう混ぜたのかは不明のままだ。

 研究不正に詳しい愛知淑徳大学の山崎茂明教授は指摘する。

「科学的な事実は詳しく明らかにされたが、不正にいたった動機や共著者間の関係性、人間に焦点を当てた追及は少なく、今後の対策に生かすチャンスを閉ざした。理事長や理事の責任追及もなかった。理研内部に、本気で不正に対峙しようとした人がいたのか疑問だ」 

AERA 2015年2月23日号より抜粋

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