ステンドグラスが印象的な川並香順記念講堂を正面に、左が7号館、右が8号館。中央のオブジェは彫刻家・流政之の作品「PACHI PACHI」
ステンドグラスが印象的な川並香順記念講堂を正面に、左が7号館、右が8号館。中央のオブジェは彫刻家・流政之の作品「PACHI PACHI」

 数多くの保育士、幼稚園・小学校教員が輩出し、「教育の聖徳」として定評のある聖徳大学・聖徳大学短期大学部。常に先進的な教育改革を推し進め、2022年には新たに教育学部がスタートする予定だ(※1)。聖徳大学の「教育力」を支えるもの、めざすものとは何か、増井三夫副学長に聞いた。
※1 2022年4月設置予定

 保育士採用数15年連続全国1位(※2)、幼稚園教員採用数8年連続全国1位(14回目※3)、教育系就職率7年連続100%(※4)……。聖徳大学・聖徳大学短期大学部は、「教育の聖徳」と呼ぶにふさわしい数々の実績を誇る。その根幹にあるのは、建学の理念に掲げる「和の精神」に則った「聖徳教育」である。

※2・3 『大学ランキング2022』朝日新聞出版発行 
※4 2013~19年度(累計就職者数468人。聖徳大学調べ)

■学部・学科を超えて履修する新たな「フィールドリンケージ」

「聖徳教育」は、小笠原流礼法に学ぶ礼法教育、一流の芸術に触れて感性を磨く本物教育に始まり、学外・海外研修やキャリア教育を通じて、人間形成やキャリア形成を促すもの。ここで大学が重視しているのは、学生を着実にステップアップへ導くための「成長実感を伸ばす教育」である。

「入学当初は不安がいっぱいで、自己肯定感も低い。そこでまず4月の合宿で『マインドマップ』を作成し、大学2年間・4年間の自己成長をイメージしてもらいます。8月には志賀高原3泊4日の学外研修。厳しい山登りを通じてチームワークを通した自己達成感をつかみ、学びへの成長意欲につなげていきます」と増井三夫副学長は言う(以下、同)。

 聖徳大学の教育力を示す特徴の一つが、「フィールドリンケージ」というプログラムだ。たとえば人間栄養学科で資格取得をめざす管理栄養士の実践分野は、保健、医療、福祉、産業、教育など幅広い。また医療の現場では医師や看護師とチームを組んで患者の栄養指導にあたることもある。ここでは、専門以外の関連領域についても理解し、他者と協働できる対応力が求められる。学部・学科を超えて科目を履修し、知見を広め課題解決力を鍛えるのがこのプログラム。複数の学部が揃う総合大学の特長を生かしたもので、今年の秋にはビジネスの実践力を養う「ビジネスフィールドリンケージ」もスタートする。

「『和の精神』をもって多様性を認め、チームワークよくコミュニケーションが取れる。それが本学の学生の特徴で、教育現場や企業から高い評価をいただいているところです」

■学生を就職へと導く「聖徳夢プロジェクト」

 企業への実就職率も、全国の女性大学で第2位(上の図表参照)。これは2012年に立ち上げた一般企業就職支援プログラム「聖徳夢プロジェクト」の成果だという。1、2年生で自己分析力や論理的思考力を鍛え、キャリアデザインの手法を習得。3年生からクラス担任やゼミの先生、学科長、早期就職内定者やOGらによる具体的なキャリア支援が始まり、学生の希望と適性をマッチングさせていく。

「大学を挙げての就職支援体制が整ったことから、学生は安心して学びに打ち込むことができるようになった。就職に対する意識も、『就職できればいい』から学科を問わず『社会の一線で活躍・挑戦したい』と、明らかに変わってきたように思います」と増井副学長は言う。

■2022年4月、教育学部誕生へ 聖徳大学の新たなる挑戦

卒業研究で披露される創作ダンスは、振り付け、音楽、照明、衣装などすべて自分たちの手で実施する。この経験は保育・教育現場での行事運営などに生かされる
卒業研究で披露される創作ダンスは、振り付け、音楽、照明、衣装などすべて自分たちの手で実施する。この経験は保育・教育現場での行事運営などに生かされる

 聖徳大学の中核を担ってきた児童学部が、2022年4月、「教育学部」として生まれ変わる。学科は保育士・幼稚園教員を養成する「児童学科」と、小学校教員を養成する「教育学科」に分化し、七つのコースに振り分けられる(下の図参照)。

「これまで児童学部の中にあった小学校教員養成コースを『教育学科』に移し、新たに挑戦する学科として、児童学科と教育学科との目的を鮮明にするのがねらいです」と増井副学長は説明する。「同時にこの再編は、OECD(経済協力開発機構)が推進する教育改革『ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030』と、その日本版といえる『令和の日本型学校教育』を見据えたものでもあります」

■人の成長を科学する教育学部として

 教育学部では資格を取得するだけの学びから脱却し、「教育を通して人間形成に寄与する」ことを基盤に「個別最適な学び」「協働的な学び」を育む教育者の養成を目標としている。たとえば、小学校の学びがそこで完結するのではなく、中学校、高等学校へと連続するよう、教科の体系性、系統性を考えたカリキュラムや教育指導法を開発していく。また、すべての教科指導にICT活用能力プログラミング学習を導入、さらには千葉県の教育委員会・特別支援学校と連携してインクルーシブ教育の開発も進行中という。

「教育改革は、大学単体では限界があります。改革推進校と連携することで改革の歯車が大きくなり、スムーズに回りはじめる。本学では先進的な小中一貫校・9年制義務教育学校での教育実習を行う予定です」

 児童学科では、園長や副園長を補佐し、スタッフとの橋渡しをしたり、保護者とコミュニケーションを取って地域と連携したりできる新しい次世代リーダーの育成をめざす。危機管理や行事運営についての授業を行うのも、これまでにない試みだ。

写真左:「教育学科」では、先進的な教育改革校と連携した実践的な学びを追究する写真右:「児童学科」では、幼児と保護者の期待に応える次世代リーダーの育成をめざす
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写真左:「教育学科」では、先進的な教育改革校と連携した実践的な学びを追究する
写真右:「児童学科」では、幼児と保護者の期待に応える次世代リーダーの育成をめざす

■教員養成だけが目的ではない 企業・社会で活躍できる人材を

 教育学部は広義の教育者の養成が第一義だが、さまざまなフィールドで活躍できる人材の育成も目標としている。

「教育者養成だけを目標にすると視野が狭まる。教育の原点は『生きることが幸福である自己と社会の形成』なんです。他者の成長に貢献することに高い使命感を持つ教育学部の学生が、その力を企業や社会で発揮しない手はないですよね」

 教育改革は1回やれば終わりではない。常に検証し、最新の教育改革の下で進めていかなくては意味がない、と増井副学長は言う。

「聖徳大学は常にイノベーションの風が吹いています。将来、社会で活躍できる力を聖徳大学で身につけたい。そんな意欲ある学生にぜひ来てもらいたいと思います」

Topics 1:学生を応援する特待制度

学生の学びを応援する特待制度も各種用意されている。高校時の学習成績を認定する「高校成績特待制度」(前期型入試対象)、英検や漢検などの取得資格を認定する「資格特待制度」(前期型入試対象)、一般選抜・大学入学共通テスト利用選抜の合計得点率を認定する「得点基準明示型学力特待制度」などで、入学金や授業料の減免が受けられる。認定者の人数制限はなく、特待制度の併用も可能。また成績不振によりいったん打ち切られても、認定基準をクリアすれば復帰可能など、「教育の聖徳」ならではの手厚いサポートが特徴だ。

Topics 2:次世代の人材を育てる

聖徳大学では2017年から、千葉県内の高等学校を対象に部活やボランティア活動の体験を発表する「高校生の体験発表会」を主催している。大学と高等学校が協力し、次世代の人材を育てるのが目的。昨年はコロナ禍でのオンライン開催となったが好評で、今年は全国規模に拡大する予定だ。

2020年の体験発表会のひとコマ(千葉県松戸市立松戸高等学校)
2020年の体験発表会のひとコマ(千葉県松戸市立松戸高等学校)

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提供:聖徳大学・聖徳大学短期大学部