練馬の「リアル図書館戦争」が不発に終わった理由 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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練馬の「リアル図書館戦争」が不発に終わった理由

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田中将介週刊朝日

練馬区と図書館司書らが激しく対立したが、ストは回避された(写真/田中将介)

練馬区と図書館司書らが激しく対立したが、ストは回避された(写真/田中将介)

スト通告のチラシ

スト通告のチラシ

 東京都練馬区立図書館の運営を民間に任せるかどうかをめぐり、練馬区と図書館司書らが激しく対立し、司書らがストライキの構えを見せていたが、18日の最終交渉の末に、ストは回避された。ネット上では、映画「図書館戦争」を引き合いに出し、「リアル図書館戦争」などと話題となったが、不発となった。

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 問題の発端は、図書館の指定管理者制度導入だ。指定管理者制度とは図書館の管理運営を民間に委託するもので、2003年に始まった。狙いは、「経費削減」や「サービス向上」で、全国に広まりつつある。

 ところが実態は全く別だと指摘するのは、自治体直営と指定管理者制度の両方の図書館で館長を務めた経験をもつ福岡女子短期大学の永利和則氏だ。

「近年、行政改革が叫ばれている中、ネックとなる人件費を減らすために民間に委託する動きがあります。しかし、初年度はコスト削減となるものの、年が経つにつれて、だいぶ増えていきます。民間だと、サービスを向上させればさせるほど、追加の費用がかかり、結局、新しい提案もしなくなっていく。本の貸し出しだけするのであれば安く済みますが、それでよいのかという問題です」

 図書館専門員は特別職の非常勤顧問であり、任期は1年。しかし、実質的には、期限のない雇用だ。練馬区議会議員の池尻成二氏は、こう言う。

「練馬区の場合は、図書館の司書が選書をずっとやっており、専門的なレファレンスサービスもやっている。通常の貸し出しだけでは見えないけれど、図書館のクオリティを最後に担保しているのが、図書館専門員。指定管理で運営している図書館では、司書の資格をもっているのが、ほぼ5割。二人に一人は無資格者。さらに実際の求人広告を見ると、最低賃金ぎりぎりで募集しており、定着率も非常に悪くなる。サービスの低下は避けられません」

 現在、練馬区には12館の区立図書館があるが、10年前から民間に運営委託する指定管理者制度の導入を進めており、区が直接運営しているのは現在、規模の大きな3館のみ。さらに区側は今年7月、直営館のうち、練馬、石神井図書館の2館にも指定管理者制度を導入する方針を明らかにした。


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