厄介な会議、数字、規則が大好きな“3バカ”。企業の活力をそぎ、経済全体に悪影響を及ぼす元凶だ(※写真はイメージ)
厄介な会議、数字、規則が大好きな“3バカ”。企業の活力をそぎ、経済全体に悪影響を及ぼす元凶だ(※写真はイメージ)

 忙しいときに話しかけてくる。上司にゴマすりばかり。「俺は聞いていない」と責任逃れ……仕事の負担を増やし、やる気をそぐいろんな“バカ”が職場にいる。中でも厄介なのが会議、数字、規則が大好きな“3バカ”。企業の活力をそぎ、経済全体に悪影響を及ぼす元凶だ。

 都内のとある食品会社。突然、小太りで50代の企画部長がバタバタとオフィスに戻ってきた。自分の椅子にかばんを置くや否や、号令をかけた。

「会議やるぞ! 会議」

 どうやら取引先との会話で何か思いついたようだ。午後2時の最も忙しい時間帯なのに、仕事の状況はお構いなし。またかと思いながら、約10人がぞろぞろと集まる。企画部長は、

「会員限定のメルマガを配信しようか。お客様を招いたイベントも開こう」

 ホワイトボードに商品のアピール案を書くが、目新しくもなく、具体的にまとまっているわけでもない。

「我々の目の前で、自分の頭の中の思いつきを整理しているだけなんです」

 部下の一人はあきれた様子で話す。

「一方的に話を展開するだけ。たまに『君はどう思う』と話を振るが、イエスマンにしか聞かないので、返事はいつも『いいと思います』。1時間で終わればいいほうで、長いときは数時間にも及ぶ。みんなで考えた方針という形だけを整えようとしている。仕事が滞り本当に迷惑です」

 会議で存在感を示し自己満足に浸る。これが会議好きバカの特徴だ。

 大手メーカーに勤める30代前半の男性は、生産管理の部署にいる。出世頭で30代後半のリーダー格の男性は、情報の共有をしようと、30人近いメンバーをよく集める。事前に求められるのが、こと細かな資料の作成。それをもとに担当者ごとに報告していくが、ほかのメンバーは黙って話を聞いているだけ。

「情報の共有は大切だけど、忙しいときは責任者だけでやればいい。メールでもできるので非効率。『リーダーは本当に会議好きだな』って皮肉られています」

 心理学者で職場の人間関係に詳しい榎本博明さん(61)は、こうした人は「自分に自信がない人が多い」と分析する。会議を口実に自分の権威を守りつつ、責任を回避しようとしているという。活発な意見交換ができれば会議も有効だが、「会議のための会議」になっていては時間の無駄だ。

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