子ども時代にドキドキ、ハラハラしながら本の世界に引き込まれた経験はありませんか?子どもたちの心をワクワクさせてくれる本の世界は、心と脳の成長の手助けをたくさんしてくれます! 読書のメリット、そして低学年、中学年、高学年でどんな本を選んだらいいのかについて、AERA with Kids2022春号(朝日新聞出版)で、筑波大学附属小学校国語教諭の白坂洋一先生に聞きました。

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 読む子と読まない子 進む読書の二極化

 子どもの本売り場に足を運ぶと、昔に比べて本のレパートリーは実に豊富。デジタル版で家にいながら本を購入することもできる時代。子どもたちが本を手に取る機会も増えているのではないかと、筑波大学附属小学校国語科の白坂洋一先生に伺うと、「最近は、二極化が見られます。かなり読み込んでいる子がいる一方で、ゲームやSNSなど楽しみも増えているのでまったく本を手に取らない子もいます。また電車が好きな子だったら、電車に関する本ばかり読んでしまうなど、偏りを感じることもあります」と言います。

 親としては、子どもに本を好きになってほしいと願いますが、子ども時代にたくさん本と出合うことのメリットはなんでしょう。「語彙がとても豊かになります。たとえば『うれしい』という気持ちを表すのに『心が躍る』と言ってみたり、四字熟語では『一喜一憂』だったり、『天にも昇る思い』と表現してみたり、日本語は語彙が非常に豊かな言葉です。しかし、読書離れが進む中、子どもたちは『エモい』や『キモい』という少ない言葉で感情表現をすべて済ませてしまう。語彙が少なくなっている実態を感じます」(白坂先生)

 人を変える力がある読書の魅力

 白坂先生はまた、本は人そのものを変える力があると言います。「本のなかで『正義感の強い人』『勇気がある人』『知恵がある人』などさまざまな人と出会うことができます。成長段階の子どもたちにとって、世の中にはいろいろな人がいるという多様性や共感力を学ぶ機会であり、こんなふうになりたいと、自己形成の道しるべにもなります」

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AERA with Kids編集部
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NEXT年齢にあった本の選び方とは
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