もし子どもが「音読しても内容が頭に入ってこない」という場合は、「声を出すことに意識がいきすぎて伝達系脳番地の働きが強く、自分の声を聞いて頭に入れる聴覚・記憶系の働きが弱い」のかも。「音読が苦手な子はこのようなケースが多いです。でも心配することはありません。自分の声をしっかり聴く練習を繰り返せば、正しい音読ができるようになります」と加藤先生。

 じつは加藤先生自身、子どものころから「音読しても内容がまったく頭に入らない」という音読障害を持っています。そして「自分が発した声を同時に聞いて記憶できない」ことがわかり、脳の研究をしながら克服する方法を見いだしました。そんな先生のおすすめする、具体的な音読法を紹介します。

文章の意味や内容がすっと入ってくる効果的な音読法とは?

 子どもがなかなか「発展音読」にたどり着かないと思っても、心配することはありません。次のポイントから、少しずつ文章を自分のものにできるようサポートをしてみましょう。

 ポイント1 なるべく短い文章を読む

 音読を習得するためには、短い文章を選ぶのがおすすめ。ことわざや格言、詩、短歌や俳句は短いけれど味わい深いものです。何度も繰り返して情景をイメージするとさらに効果的。短文でも内容を理解して考えたり味わったりすれば発展音読に近づきます。

 ポイント2 読むときは助詞を意識する

「春休みは家族と旅行に行く」の「は」「と」「に」のような「助詞」を〇で囲むと、名詞と助詞の区切りが目で見てわかり、単語が頭に入りやすくなります。さらに読むときは意識してゆっくり強めに声に出すと文章を耳でとらえながら意味を理解できます。

 ポイント3 会話が広がる問いかけをする

 自由に親子の会話を広げてみましょう。「主人公の〇〇くんは、どうしてすぐに怒っちゃうのかな?」「もしこれが本当にあったら、どうする?」など。子どもが自由に考えを深められる問いかけは、音読の内容を豊かに広げてくれます。

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