今春の首都圏の中学入試は過去最高の受験率を記録しましたが、その傾向は来年度入試でも続くのでしょうか。大手進学塾などが行っている模試の結果は、受験者の動向を探る指標になります。中学受験の専門家たちは模試の結果をどう読み解いているのか。10月に行われた各塾の模試結果から、来年度の入試傾向や志願者数の増えそうな学校がどこかを聞きました。

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■中学受験率は「過去最高」を更新か

 首都圏模試センターの調べでは、中学入試は7年連続で受験生が増加し、2021年度の受験率は16.86%と、過去最高に達した。

 この傾向は来年度も続くのだろうか。今回取材した3氏(安田教育研究所代表の安田理さん、森上教育研究所代表の森上展安さん、首都圏模試センター取締役教育研究所長の北一成さん)はいずれも、中学受験率は来年度も上昇し、記録を更新すると予測する。安田教育研究所の調べによると、今年10月に行われた4大模試(首都圏模試センター・四谷大塚・日能研・サピックス)の受験者の合計は4万7255人で、昨年同期の4万5693人と比較して1562人増、約3.4%増えている。安田さんは、「小規模塾の生徒のなかには、4大模試を受けていない生徒もいる。本番の入試では4%増くらいになるのでは」と予想する。

 さらに北さんは増加傾向について、次のように話す。

「6年生はもちろんですが、模試を受ける5年生も増えています。来年度はまずまちがいなく増えるでしょうが、再来年度も増加するでしょう」

 中学受験者数が増加傾向にある背景には、昨年同様、コロナ禍での公立と私立の対応の差があるとみられている。オンラインでいち早く授業を再開した私立に比べて、公立は後手に回り、その結果「私立に入れたほうが安心」という家庭が増加した。北さんは「コロナ禍が私立の追い風になった」と話す。

 森上教育研究所の調べによると、東京・神奈川の入試初日となる2月1日の午後や、2日以降の入試の受験者数が増えているという。

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柿崎明子
ライター 柿崎明子
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