一方、岐阜ののべ受験者数は1045人から986人に減少。岐阜は愛知との交通の便が良く、例年は併願する受験生も多いが、今年はコロナの影響で移動が敬遠された模様だ。三重は昨年の1592人から1761人と大きく伸ばした。

 日能研東海(名古屋市)代表の野田幹人さんは、コロナ禍でも増えた理由を次のように話す。

「休校中の対応で、私立と公立の差が出ました。例年、受験からリタイアする6年生がいるのですが、今年はむしろ少なかったですね。上位層は手堅く第1志望を受けていましたが、中堅以下の受験層は安全志向が働き、合格を取れたら、第1志望でなくても早々に入学を決める受験生も多かったです」

 男子校最難関の東海(愛知)は、志願者数が998人から1020人に増加。17年以来の1千人超えとなった。同じく女子校最難関の南山女子部(愛知)も670人から705人と伸ばし、実質倍率が3.91と4倍近くまで跳ね上がった。

 例年1千人以上の志願者を集める名古屋(愛知)は、1524人から1497人と減らしたが、合格者を絞ったために実質倍率は上昇した。名古屋女子大学(愛知)は他校より早い1月10日から入試を開始しており、前哨戦として受ける志願者が増加している。今年も790人から892人と大きく増やしている。

 今年は金城学院が、英語を教科テストとして入試に導入した。数年前より東海地区では、中堅校を中心に英語を教科テストとして実施する入試や、英検など外部の資格で英語力をアピールできる入試が増えている。前者は12校、後者は21校で導入。今後は特に、より手がかからずに英語力をアピールする入試が増えていきそうだ。 

「コロナの影響で志願者が減ったり、志望先を変えたりするのではないかと見られましたが、ほとんどなかったですね。東海地区の中学受験率は、今後も上昇が続くのではないでしょうか」(野田さん) 

(文/柿崎明子)

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ライター 柿崎明子

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