続いて、カトリック系伝統女子校の2008年度入試で出題された「交換」の問題(図2)。

【問】 交換
左のお部屋を見てください。メロンパン1個は、ドーナツ2個と換えてもらえます。食パン1斤は、メロンパン2個と換えてもらえます。ハンバーガー1個は、メロンパン1個とドーナツ1個と換えてもらえます。
(1)メロンパン4個は、食パンいくつと換えてもらえますか。その数だけリンゴのお部屋に〇をかいてください。
(2)食パン2斤は、ドーナツいくつと換えてもらえますか。その数だけブドウのお部屋に〇をかいてください。
(3)ハンバーガー4個は、食パンいくつと換えてもらえますか。その数だけバナナのお部屋に〇をかいてください。

 久野さんの解説。

「かけ算や割り算の考え方の土台となる『交換』は、定番の問題のひとつです。1問目は割り算の『包含除』。食パン1斤がメロンパン2個というルールから、メロンパン4個の中に『2のかたまり』はいくつあるか考えます。2問目はかけ算の問題ですが、食パンとドーナツの間にメロンパンという『仲立ち』を考えなくてはなりません。3問目の難問を解ける子は、受験者全体の3分の1ほど。親が正しい解法を先に教えると、思考力は伸びません。不正解でも『自分で作業できたこと』を評価してあげましょう」

 答えは、(1)2個の〇、(2)8個の〇、(3)3個の〇となる。

 3問目について、文系出身の記者は、最後まで正解がわからなかった。久野さんは、「全問正解しないと合格できない、というわけではない」とした上で、「子どもに一日何十枚もペーパー課題を課し、繰り返す方法では、本物の『思考力』は身につかないということが、問題内容からわかると思います。日々の遊びの中で、親子で一緒に具体物を使って手を動かし、試行錯誤する経験が大事なのです」と言う。

 過去問を解いてみて、どう感じただろう。小学校受験で大切なのは、親子で対話を重ね、失敗も楽しむ姿勢なのかもしれない。

(文/曽根牧子・アエラムック編集部 取材協力/澤田聡子)

※『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2021』より

【AERA English特別号】英語に強くなる小学校選び 2021 (AERAムック)

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曽根牧子
編集者/ライター 曽根牧子

朝日新聞出版アエラムックチームの編集・ライター。『AERA English』『英語に強くなる小学校選び』などで教育、英語学習、小学校受験に関する記事を執筆。

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