「自尊感情が低下していると、他人と自分を比較して安心しようとしたり、他者にほめてもらわないと不満が膨らんだりします。自己信頼感が低ければ、学習方法や志望校が決められない、あるいは人の意見に耳を貸せなくなるなど独断的になりがちです」

 また、この二つが低下していると、子どもと自分を同一視してしまいがちだという。

「子どもの受験の成功が、自分の人生の成功だと思っていないか、振り返ってみることも大切です」

 親の自己肯定感が下がることは、受験にどんな影響があるのだろう。中島さんは、「わが子の人生にとって本当にいい選択とは?」という大局的な視点が抜けてしまうことが問題だと考える。

「そもそも小学校受験を考えたのは、教育について広い視野で考えた結果でしょう。それはすばらしいこと。しかし、受験対策が始まって、学校の名前や周囲の意見に振り回されて視野が狭くなると、最良の選択ができなくなる。家族関係もギクシャクする恐れがあります」

 とはいえ、親が自分を責めても始まらない。

「まずは『この子はこの子。大丈夫、きっとうまくいく』と声に出してみましょう。自己肯定感が高まれば、結果が思うようにいかなくても『これも運。次はいいことがある』と跳ね返せるのです」

 親の自己肯定感が上がることで、子どもの自己肯定感が高まるそうだ。

「人間は環境の影響を受けやすい生き物です。ポジティブな言葉のシャワーをたくさん浴びせることで、受験も子どもの内面を豊かに育てるチャンスになるはずです」

(文/神素子)

●プロフィール
中島輝/心理カウンセラー。10年間のひきこもりやパニック障害などの経験を経て、独学でカウンセリングを学ぶ。約1万5000人のクライアントを回復に導く。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』(SBクリエイティブ)など。

※『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2020』から抜粋

【AERA English 特別号】英語に強くなる小学校選び 2020 (AERAムック)

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神素子
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