難関校の中学入試は、さまざまな前提条件が出され、それを基に今まで勉強してきた知識を総動員して解くような問題が出されます。私の経験から、知識を実体験している子ども、テストなどでは正解だけでなく問題に興味を持って、正解以外の内容も調べるような好奇心旺盛な子どもは成績が伸びます。

■苦手は「伸びしろ」ピンポイントで克服

 理科は「生物」「地学」「物理」「化学」の4分野あり、前の二つが暗記分野で後の二つが計算分野と呼ばれます。暗記が苦手な子どもは、どれくらい覚えたらいいか全体像がつかめず拒否反応を起こしているのです。多くの子どもの苦手とする星座は、まず10個だけ覚えさせましょう。

 生物などの暗記も、優先順位を決め数を限定して覚えさせます。目標をクリアすると、子どもはもっと覚えようと意欲が湧いてくるものです。

 計算は小数第3位まで要求される複雑な問題でミスをし、苦手意識を持つ子どもが多いようです。まず一問をゆっくりと解いて正答させ、自信をつけるとミスが少なくなります。

 理科全般を苦手に感じている子には、わかりやすい参考書を使って復習させましょう。

 塾のテキストは先生が教えることを前提にしているため、自習には向いていません。解説を見て、子どもが「これならわかる」と感じたものがいいでしょう。苦手な単元がはっきりしていれば、動画を見て復習する方法もあります。

 お金はかかりますが、優秀な先生なら一回の授業で一つの単元をマスターさせることができます。余裕のある時期に、家庭教師のお試しを利用して、良い先生に出会ったらいざというときに頼るという方法もあります。(文・柿崎明子)

○プロフィール
辻 義夫(つじ・よしお)/兵庫県生まれ。「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。1988年兵庫県で学習塾主宰。浜学園の講師などを経て2012年から拠点を東京へ。著書は『中学受験見るだけでわかる理科のツボ』など。

※AERA進学BOOK「カンペキ中学受験 2020」から抜粋

カンペキ中学受験 2020 (AERA進学BOOK)

アエラムック教育編集部

カンペキ中学受験 2020 (AERA進学BOOK)
著者 開く閉じる
柿崎明子
ライター 柿崎明子

1 2