なんとなく勉強するのと、目標を持って勉強するのでは意欲も変わってきます。基本はおろそかにせず、基本と過去問を7対3くらいでやるといいでしょう。

 毎日10問でもいいから続けてほしいのが計算問題です。計算は数に対するセンスを磨きます。10歳くらいまでが飛躍的に伸びる時期ですが、それ以降でも効果はあります。

 筆算でなく、暗算でやらせてください。頭のなかで、数字をイメージすることが大切なトレーニングになります。暗算ができれば、問題を解くスピードが格段に上がります。私は塾生に、途中式や図を書かなくてもいいと教えています。式や図にとらわれてしまうとスピードが落ちてしまいます。解法をしっかりと理解していれば、設問で要求されてもすぐ書くことができるので心配はいりません。

 6年生になったら、出題されやすい分野を集中的にやります。算数が苦手な子どもなら、必ず出題される「平面図形」「速さ」「割合(割合、比の文章題)」の3分野を、余裕があれば「数の性質」「規則性」を加えた5分野に当たりましょう。

 本来は解説をすぐ読まずじっくり考えてほしいのですが、6年生の夏以降はそんな悠長なことはいっていられません。5分考えてわからなければ解説を見て解き方を覚え、再度問題をやってみます。つまずいている分野は親がヒアリングし、解き方がわかるのに間違っていたらひたすら問題に当たり、解き方がわからないなら基本問題にさかのぼってやり直します。

 第一志望の過去問は6年の夏か遅くても秋口から始めた方がいいです。数年分やると、どういう問題が出てどのように問われるか目星がつき、対策を立てやすくなるからです。(文・柿崎明子)

○プロフィール
村上綾一(むらかみ・りょういち)/大阪府生まれ。大手進学塾に就職後、中学受験エルカミノを設立。パズル作家としても活躍中。著書に『人気講師が教える理系脳のつくり方』『ロジカル思考トレーニングパズル面積迷路』など。

※AERA進学BOOK「カンペキ中学受験 2020」から抜粋

カンペキ中学受験 2020 (AERA進学BOOK)

アエラムック教育編集部

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柿崎明子
ライター 柿崎明子

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