「リケジョ=理科系女子」という言葉が使われるようになって久しいが、どうやら医学部受験においても最近このリケジョが躍進しているらしい。「カンペキ中学受験2019」(朝日新聞出版)から、首都圏中高一貫校の国公立大全医学部と私立大全医学部の合格率(ランキング(2017年データ)をお届けする。

表中の「国」は国立、「私」は私立、「公」は公立。2017年のデータ。合格者数は現役と浪人を合わせた人数
表中の「国」は国立、「私」は私立、「公」は公立。2017年のデータ。合格者数は現役と浪人を合わせた人数

*  *  *

 表は防衛医科大学校を含む全国公立大医学部と全私立大医学部の合格率(現浪合計の合格者数÷卒業生数×100)ランキングだ。医学部人気は高いが、難しくなり過ぎて高値安定の状況になっている。こうなってきた一因は医学部の定員増。定員増により狙い目になったと考える理系の受験生が医学部を目指すようになり、志願者が増えたのだ。

 07年の7625人から、18年には9419人と1794人、23.5%も増えている。この2年の間に宮城県仙台市に東北医科薬科大医学部、千葉県成田市に国際医療福祉大医学部が新設された。

■医学部合格率1位は桜蔭、2位は白百合学園

 合格率トップは桜蔭の63.25%だ。2位が白百合学園の48.26%でともに女子校だ。別学校が強く、トップ10は女子校4校と男子校6校で、トップ30を見ても共学校は5校だけだ。手に職をつけたいと考えるリケジョのトップ層が、医学部を目指す傾向が強く、女子が増えていると見られる。

 その合格の内訳を見ると、トップの桜蔭は国公立大が53人、私立大が95人だ。2位の白百合学園は国公立大9人に対して、私立大は74人で、私立大合格者が圧倒的に多い。他でも共学校トップの11位の秀明、15位の光塩女子学院、23位の浦和明の星女子など、国公立大合格者がひと桁の学校も少なくない。

 これには医学部の偏在が影響している。国公立大は1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)には4校しかなく、防衛医科大を加えても5校だ。一方、私立大は16 校あり、全私立大医学部31校の半数以上に上る。首都圏で私立大医学部を目指す受験生が多いのは、無理のないところだろう。

(大学通信・安田賢治)

カンペキ中学受験 2019 (AERA進学BOOK)

朝日新聞出版

カンペキ中学受験 2019 (AERA進学BOOK)
著者 開く閉じる
安田賢治
安田賢治