毛受敏浩先生/日本国際交流センター執行理事。外国人定住政策の専門家。外国人が多く住む東京都新宿区で「多文化共生まちづくり会議」の会長を務める。近著『限界国家』(朝日新書)では、日本の人口減少とその対策について詳しく解説している(撮影/写真部・小原雄輝)
毛受敏浩先生/日本国際交流センター執行理事。外国人定住政策の専門家。外国人が多く住む東京都新宿区で「多文化共生まちづくり会議」の会長を務める。近著『限界国家』(朝日新書)では、日本の人口減少とその対策について詳しく解説している(撮影/写真部・小原雄輝)

 人口が減って高齢者の割合が増える今後の日本は、荒波に漂う難破船のように心配な状態だ。なんとか生き延びる方法を考えなければならない! 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、日本国際交流センター執行理事・毛受敏浩さん監修の解説を紹介しよう。

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 人口減少がもたらすあらゆる問題に対して、次の4つの対策が考えられている。

【対策1:女性の社会参加】
仕事をしていない専業主婦や短時間しか働いていない女性たちに、もっと外で働いてもらう。そのためには、保育園や高齢者施設を増やしサービスを充実する必要がある

【対策2:高齢者の活用】
現在、会社の定年は60歳が多いが、原則として年金を受け取れる65歳まで働く人が増えている。定年を延長して70歳まで働くようにすれば、現役世代が増え年金をもらう人が減ることになる

<メモ>1970年には、男性は「55歳定年」、女性は「50歳定年」の会社が多くありました。

【対策3:ロボットや人工知能の活用】
工場で働くロボット、掃除するロボットなど、人間より効率的に仕事をするロボットが活躍。技術が発展すれば、情報の記録や整理など人工知能(AI)が得意な分野がさらに増える

【対策4:外国人が正式に働く】
人口が多い国の人に日本に来てもらって、必要な分野で働いてもらう。日本で働く外国人は増えているが、中には外国人と一緒に暮らすことに不安を持つ人もいる

<メモ>先進7カ国の中で、一般的な労働者として正式に「移民」を受け入れていないのは日本だけ。ほかの先進国は労働力の確保と少子化への対策として、移民を受け入れています。

 細かくみていこう。

■女性の社会参加や高齢者の活用

 今考えられている四つの主な対策のうち、「女性」は、すでにかなり進んでいる。女性も男性も働きやすい環境をさらに整えることはもちろん必要だ。しかし、「仕事をしながら、子育てをしてほしい」「介護もしてほしい」、こんな大きな期待にどの女性も応えられるとは考えられない。

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AERA dot.編集部
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