「高齢者」については、今も60歳以上で働く人は多い。個人差は大きいが、60歳を過ぎれば体力的に若い人と同じことはできなくなる。また、ITなどの最新技術についていくことが難しく、新しい技術を生み出すような分野で活躍することはあまり期待できないだろう。

<メモ>団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始める2022年から、介護のために仕事をやめる「介護離職」が増えると予想されています。

■ロボットや人工知能の活用

 ある程度期待できるのは、「ロボットや人工知能」だ。しかし、ロボットや人工知能がなんでもできるわけではない。たとえば、小さな子どもや高齢者のあいまいな話や気持ちを理解することは難しい。お店などで、お客さんに合わせたきめ細かなサービスをすることもできないだろう。新しいことを創り出す知恵も人工知能は苦手だ。

■外国人が正式に働く

 可能性が大きいのは、「外国人」だ。まだ取り組んでいない分野だからだ。日本で働く外国人は昨年10月末に、過去最多の108万人になった。この中で、前から多く今も多いのは日本に永住する外国人や、日本人と夫婦になっている外国人。また、企業の経営者や大学教授など専門的な知識や技術を持つ人たちもいる。

 そして、最近増えているのが、留学生と外国人技能実習制度で日本に来ている人たちである。しかし、留学生の目的は、大学などで学ぶことだから、週28時間を超えて働いてはいけないというルールがある。技能実習制度の目的は、農業や機械操作などの技能を学んで母国に持ち帰ることだ。それなのに、人手不足の日本の会社などは、この人たちの安い労働力に大きく頼っている。その結果、留学生の週28時間を超える労働、技能実習生への残業代・賃金未払いや長時間労働など、法律違反や人権侵害が各地で起きている。

 だから、このような「抜け道」ではなく、一般的な仕事でも正式に外国の人たちが働く制度をつくる必要がある。外国人が日本に長く住むようになれば、現役世代の一人として社会保障の負担をすることになり、消費者として日本経済にも貢献してくれるだろう。

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