知的にはまったく問題ないにもかかわらず、「読み書き」に対して、不自由さを抱えている学習障害のことをディスレクシアといいます。小学校では、漢字書き取りや計算ドリルなど、「読み書き」の宿題が多いため、ディスレクシアの子どもにとってはつらい環境であるといえます。『AERA with Kids秋号』(朝日新聞出版)では、わが子がディスレクシアかも?と思ったとき、親はどうするべきかについて取材しました。

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 トム・クルーズやスティーブン・スピルバーグがカミングアウトしたことでも話題となったディスレクシア。英語圏における人口は10~15%といわれています。正式な統計はありませんが、日本でも人口の10%ほどがディスレクシアであるといわれるほど、実はこの症状を抱えている人たちは非常にたくさんいます。しかしこれまでは、気づかれず、誤解されるケースが多かったのです。

 学習障害に詳しい、さくら眼科の松久充子先生は、ディスレクシアの見分け方について次のように説明します。

「親が最初に気づくことができるのは、4~6歳です。このころ、子どもは文字の存在に気付き、文字について質問をするようになります。自分や友だちの名前に興味を示し、『文字と音(言語)』の関連に気が付き始めます。小学校入学前の6歳ごろには、ほとんどのひらがなは理解できるようになります。このような様子が見られないのがディスレクシアの子の特徴です」

 この時期に判明しなくても、小学生になると、次のような症状が表れるといいます。

「次のポイントは小学校1年生の秋です。2学期までに『きゃ』『ちゅ』など小さい文字を伴った音(拗音)や『てっぱん』など小さい『つ』のある音(促音)、『おかあさん』など母音を伸ばした音(長音)、『ん』を伴った音(撥音)などの読み書きができない場合は可能性が高いといえます。また、初めて見る文章の音読を嫌がる、飛ばしよみをする、書き順を含めた漢字の習得が遅いなどの特徴も出てきます」

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AERA dot.編集部
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