<請求する>

(4)解散・解職請求
 いくら選挙で選んだ人でも、最初に掲げていた公約を守らなかったり、住民の意見を無視する人だったりしたら困るよね。そういう場合は「議会の解散請求」や「議員・首長の解職請求(リコール)」ができる。

 どちらも有権者の3分の1の署名を集め、代表者が選挙管理委員会に請求。委員会は「住民投票」にかけ、過半数が賛成すれば解散・解職が実現する。

(5)条例をつくる
 自治体ごとに決められたルールを条例という。地域のよさを生かしたり、問題を改善したりするには、できるだけ住民の参加が必要。最近では、障がいのある人に配慮する「誰もが安心して暮らせる条例」など、住民による条例づくりが全国各地で行われているよ。

■これホント!? 全国おもしろ条例集

 全国の自治体には、地域の活性化やPRのために工夫を凝らしてつくられたユニークな条例がいっぱいあるよ!

<豪邸しか建てられないまち>
 豪邸だけがズラリと立ち並ぶ全国でもケタ違いの高級住宅地、兵庫県芦屋市六麓荘町。このまちの景観とブランドイメージを保つため、芦屋市には「豪邸条例」というものが存在する。なんと400平方メートル以上の大きな個人邸宅以外は建てられず、小さな家や商業施設は一切、NGなのだ。

<地元のお酒でカンパーイ!>
 飲食店などで最初の一杯などに、地元産のお酒で乾杯する習慣を勧める「乾杯条例」が、全国各地で誕生している。例えば、九州では焼酎、北海道ではワイン、米の産地では日本酒など、地域によってさまざまだ。ちなみに守らなくても罰則はない。

<キューピット成功で20万円>
 三重県の旧・紀勢町では、まちに住む30歳以上の2人の結婚をお世話したキューピット委員(仲介人)に、1組につき20万円を支給する「キューピット条例」があった。中年齢者の結婚促進が一番の目的だったそう。まちの合併に伴い、現在は廃止となっている。

(監修/元鳥取県知事、早稲田大学公共経営大学院教授・片山善博)

【キーワード:選挙権】
2015年成立の公職選挙法改正により、選挙権年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げられた。また、地方自治において、市区町村長や議会議員、都道府県議会議員に立候補する被選挙権は25歳以上、都道府県知事は30歳以上から与えられる。また、上記議員に立候補するには、その地域の選挙権が必要。

【キーワード:住民投票】
住民が投票によって直接意思表示すること。地方自治で行われる住民投票には、議会の解散請求や議員・首長の解職請求の賛否を問うもの、条例の制定に基づくもの、地域の問題点について住民の意見を確かめるためのものなどがある。

【キーワード:条例】
自治体の議会が制定する法律。国の法律に違反しない範囲で独自につくれる。住民による条例の制定・改廃の請求は、有権者の50分の1以上の署名とともに、代表者が自治体の首長に請求。議会で話し合い、首長が結果を公表する。

※月刊ジュニアエラ 2017年6月号より

ジュニアエラ 2017年 06 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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