地域には子どもからお年寄りまで、いろいろな人がいる。一人ひとりが主体となって、物事を決めていく「民主主義」が地方自治の基本だ。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、元鳥取県知事、早稲田大学公共経営大学院教授・片山善博さん監修の住民参加の主な方法を紹介しよう。
■参加方法はいろいろ
<伝える>
(1)陳情、意見・提案
陳情は、誰でも自由に自治体や議員などに意見を伝えられる方法。自治体のホームページでも、市長などへの意見や提案を受け付けている。市役所に市長ポストが設置されていることも。ただ、対応してもらえるかは、場合によるのが難点。
(2)請願
請願は、意見に賛成してくれる“紹介議員”が最低1人は必要になる。議員の署名か記名押印付きの請願書を議会に提出すると、委員会などが審査。本会議で出た採択・不採択の結果を、ちゃんと郵送で知らせてくれる。陳情・請願は1人でもできるけれど、より重みを持たせるには多くの署名を集めるのがベター。
【実例】
●メールで信号設置が実現(北九州市 2016年)
過去に何度も大きな事故がありながら、改善が進まなかった交差点。市民からメールで陳情を受けた議員が、現地の聞き込みや現地視察を行い、信号を管轄する警察署に要望を伝えたところ、その年度内に信号の設置が実現した。
<小学生の熱意で条例ができた(長野県佐久市 2009年)>
通学路のごみが気になった小学生の兄弟2人が、市議会に「ごみのポイ捨て禁止条例」の陳情書を提出。「ぼくたちはタバコの吸い殻を拾いながら『大人が捨てたごみを子どもが拾うなんて、悲しい』と思いました」という訴えに、議会は全会一致で陳情を採択した。
●普通のお母さんたちが動き出した(東京都小金井市 2011年)
2011年の東日本大震災による原発事故をきっかけに、子どもの給食の安全性を気にするお母さんたちが声を上げ始めた。給食の民間委託にともなって、「学校給食の質と安全性を確保してほしい」という陳情書を市議会に提出。陳情は採択され、15年には教育委員会や給食会社、公募市民などで構成される新委員会が立ち上がった。現在、食材の安全性を最優先した手づくり調理の学校給食を目指している。
<選ぶ>
(3)選挙
住民は18歳以上になれば選挙権を持てる。自分の考えに合った議員や首長を見極めて選ぶことが大切だ。たとえば、市長は市長選挙、市議会議員は議員選挙が、それぞれ4年に1度行われるよ。