小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で連載中の「大人の謎 ぶっちゃけ質問箱」。今回は「電車でお年寄りに座席を譲ること」について。回答者はコラムニストの石原壮一郎さんです。

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【Q】電車でおじいさんに席を譲ろうとしたら座ってくれず、気まずい思いをしました。でも、譲らないでいるのもツラいし……。(saraさん 神奈川県/14歳)

■座ってくれるかどうかは、じつは重要ではない

 勇気を出したのに、悲しい反応でしたね。もちろん、席を譲ろうとしたことは間違ってはいません。あなたが「どうぞ」と言ったのは、感謝されたいからでもホメられたいからでもないはず。おじいさんよりも若くて元気な自分が立ったほうがいいと考えて、知らん顔で座り続けるより「席を譲る自分」になることを選んだのでしょう。それはすてきな心がけだし、より実り多き生き方だと思います。

 相手が座ってくれるかどうかは、重要ではありません。譲る申し出にどう感じてどんな態度を取るかは、相手の問題です。あなたは自分の良心に従い、自分の生き方を貫いたんですから、堂々と胸を張りましょう。

 今度また座ってもらえなかったら、もうひと踏ん張りして「気まずくてもニッコリ笑って『失礼しました』と言える自分」を目指すのはどうでしょう。そんなイメトレができていれば、落胆を乗り越えて「貴重な経験ができた」と思えそうですね。

※月刊ジュニアエラ 2017年4月号より

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AERA dot.編集部
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