2月11日、科学のビッグニュースが世界を駆けめぐった。アメリカの研究チームが「LIGO」を使い、史上初めて「重力波」を観測した。小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』では、毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている。重力波とは何なのか、本誌より紹介しよう。

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 私たちが暮らしているのは地球の上だけれど、そこはとてつもなく広い宇宙空間の一部だ。夜空を見上げると、空間は星の世界まで続いている。空間はまっすぐ続いているように見えるけれど、じつは「曲がる(ゆがむ)」ことがある。星や銀河のように重い(質量が大きい)ものがあると、空間は曲がるんだ。このとき、光も空間に沿って進むので、曲がって見える。

 このことはアメリカの物理学者、アインシュタイン(1879~1955年)が「一般相対性理論」という論文の中で1916年に述べており、3年後の皆既日食のときに確かめられた。実際には太陽の裏側にあるはずの星が、日食で暗くなった太陽の近くに見えたのだ。図2のように、重い太陽のそばで空間が曲がったため、星の光も曲がって届いたというわけだ。

 重いものがブルブルッと大きく動いたときは、どうなるだろう? 近くの空間はそれにつれて、ブルブルッと震えるようにゆがむ。この「空間のゆがみ」が、波となって伝わるのが「重力波」だ。重力波の存在もアインシュタインが予言していた。

■二つのブラックホールの合体が大きな重力波を発生させた

 昨年9月14日、アメリカの2カ所にある重力波検出装置(重力波望遠鏡)「LIGO」が、13億光年ほど離れたところにある「ブラックホール」が合体するときに発生した重力波を捉えることに成功した。ブラックホールは光を出さないので見えないが、とてつもなく重い天体だ。

 今回は、互いに回り合っている二つのブラックホールが近づいていき、合体するまでの重力波の変化が、図4のように観測された。この波形から何がわかるのか、国立天文台重力波プロジェクト推進室の麻生洋一准教授に教えてもらった。

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AERA dot.編集部
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