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電子書籍リーダー、スマホ、小売店舗、広告、医療、物流……。私たちの生活のあらゆるシーンで電子ペーパーディスプレーが使われる現代。元太科技工業(E Ink、イーインク)は世界有数のメーカーとして、環境負荷の少ない革新的な製品を開発し続けている。製品は世界中の企業に供給され、新しいサービスを生み出す原動力にもなっている。だが、業績は順風満帆だったわけではない。いまの成功の背景には10年前の「ある決断」があった。

電子ペーパーディスプレーで教育と地球にイノベーションを 甘豐源さん/元太科技工業股份有限公司


目と環境に優しい
電子ペーパーディスプレー

 電子ペーパーディスプレーは、プラスチックフィルムの上に電子インク(電気泳動式電子インク)を塗布、薄膜トランジスタ回路を貼り付け、駆動IC(集積回路)で制御してピクセル図形を形成するのが一般的だ。イーインクの電子ペーパーディスプレーの技術について、社長の甘豐源(カン・フォンユワン)さんは次のように話す。

「ブルーライト(青色光)を一切出さないため目を保護することができます。電気の使用量も少なく節電、ひいては二酸化炭素の排出削減につながっています。また、当社の電子ペーパーディスプレーは反射式ですから、バックライトのような光源を必要とせず、紙と同じように太陽光などの光があれば見ることができます。『グリーンでデジタルな紙』と表現することができると思います」

 紙媒体の雑誌や書籍はさまざまな工程を経てつくられる。木を植える。伐採する。紙をつくる。印刷する。読み終わったらリサイクルする。この間、多くの二酸化炭素を排出してしまう。これに比べ電子ペーパーディスプレーであればアップデートだけで新しい情報を表示できる。イーインクの電子ペーパーディスプレーは反射式のため、アップデートのときだけ電力を消費する。同じ情報を表示している限りは電力を消費しない。

「紙から電子ペーパーディスプレーに転換することは二酸化炭素の排出量削減につなげるデジタル・イノベーションにほかなりません」(甘さん)

ディスプレーに表示されている情報をアップデートするときだけ電力を消費するため、電力使用量の削減、ひいては二酸化炭素の排出量削減につながる

液晶パネル事業から
戦略的に転換したこの10年

イーインクの電子ペーパー技術は物流や社員IDなど多くの分野で活用されている

 1992年設立のイーインクは、テレビやパソコン、デジタルサイネージなどに使われる液晶パネルメーカーの台湾における先駆けとして、大小さまざまなサイズのパネルを生産してきた。液晶パネルは営業利益の約50%を占める主力事業だったが、その後、液晶パネル事業は世界的な価格競争時代に入り、業績が悪化。戦略的な転換を求められた。設立から20年後の2012年、台湾の達意科技(SiPix、サイピックス)を買収。会社の資源を将来的な有望市場である電子ペーパーディスプレーに集中することにした。

「液晶パネルから電子ペーパーディスプレーへの戦略的な転換がこの10年の最大の変化です」(甘さん)

 いまではイーインクの電子ペーパーディスプレーの技術は電子書籍リーダー、手書き電子ノート、電子棚札、広告用看板など多様な分野で活用されている。例えば、目に影響を与えるブルーライトを出さない特徴を生かした電子書籍や電子ノートは子どもの教育分野で使われている。また、小売店であれば一日に何回も棚札を書き換えなければならないが、電子ペーパーディスプレーを使うことで価格表示を変えるだけでいい。

 電子ペーパーディスプレーの普及は二酸化炭素の排出減など環境負荷の少ない社会の実現に向けた大きなステップだ。過去5年間で、世界中で約1億3000万台の同社の電子書籍リーダーが使用され、印刷された紙の本にとってかわってきている。もし、1億3000万台の電子書籍リーダーが毎年平均10冊の本をダウンロードしたと仮定すると、紙の本で読む場合は電子ペーパーディスプレーの約10万倍、液晶タブレットで読む場合は約50倍の二酸化炭素を排出するという(*)。

*イーインク社調べ

小売店では一日に何度も値札を変える。電子ペーパーディスプレーを使えば価格表示を変えるだけですむ

イーインク本社ではカンファレンスルームの使用状況も電子ペーパーディスプレーで表示している

スムーズなページ変更と
マイルドな色調が特徴

主力製品シリーズの「カレイド」。今年発売した「カレイド3」はページ変更の速度をアップした(画像提供:元太科技工業)

 イーインクでは研究開発に積極的に投資している。20年の研究開発への投資額は約24億6700万台湾ドル(約111億円)。営業利益の16%を占める額だ。ディスプレーのカラー化を進め、新しい製品を生み出してきた。例えば主な製品シリーズである「カレイド」。もともとモノクロだったフィルムの上にカラーのインクをプリントしたものだ。19年に最初の製品を発売。続いて21年には「カレイドプラス」を開発した。「台湾エクセレンス2022」の銀賞を受賞したこの製品は、高速のページ変更を必要とする電子書籍リーダーや手書きノート市場向けに開発されたものだ。

 ブルーライトを除去する技術が使われているほか、①印刷された紙の質感に似たマイルドな色調を実現、②手書きノート用の手書き機能など教育・研究分野に適した機能を導入、③テキストの解像度を向上し、モノクロの電子ペーパーと同じ解像度を実現、などの特長をもつ。さらに今年発売したカレイド3は、プラスよりもさらにページ変更の速度をアップしている。

目に影響を与えるブルーライトを出さないため、電子書籍など子どもの教育分野でも広く使われている

 こうした環境配慮型の製品の技術開発だけでなく、生産工場におけるグリーン化も同時に進めている。その一つが「グリーン電力証書システム」の活用だ。再生可能エネルギーによって発電された電気の、二酸化炭素排出削減といった環境付加価値を「グリーン電力証書」の形で取引する仕組み。グリーン電力証書を購入する企業が支払う費用は、証書発行事業者を通じて発電設備の維持・拡大などに利用される。購入企業はグリーン電力証書の取得により、発電設備を持たなくても証書に記載された電力量相当分の再生可能エネルギーの普及に貢献し、グリーン電力を利用したとみなされる。イーインクでは約1900の証書を購入している(21年4月時点)。

 工場にも太陽光発電、風力発電、バイオマス発電による再生可能エネルギーを導入している。甘さんが話す。

「当社は2030年にRE100(使用電力の100%を再生可能エネルギーでまかなう)の実現を目標に掲げ、今年末にはRE10を達成する見込みです。さらに2040年には二酸化炭素を排出せずに製品を製造するカーボンゼロを実現したいと考えています」

多くの日本企業とも提携し
デジタル・イノベーションを加速

「2040年には二酸化炭素を排出せずに製品を製造するカーボンゼロを実現したい」と話す甘さん

 イーインクは10年前に液晶パネル事業から電子ペーパーディスプレー事業へと戦略的な転換を図り、新製品の開発を続けてきた。同時にビジネスモデルも大きく変えた。自社製品の製造販売だけでなく、自社で開発した材料や製品を他社に供給することによって、イーインクの製品をより多くの人たちに使ってもらう方向を選択した。日本の大手企業と提携し、新しい商品やサービスを生み出している例もある。

 ソニーは17年4月、子会社ソニーセミコンダクタソリューションズとイーインクで合弁会社を設立。電子ペーパーディスプレーを活用した製品、アプリケーションなどの企画・開発・製造・販売を進めることにした。

 リコーは21年7月、建築現場など屋外での図面確認など大きな用紙を用いた業務のデジタル化を進めるため、イーインク製の42インチの電子ペーパーを使ったソリューションの提供を始めた。

 伊藤忠商事は21年11月、イーインクと電子ペーパーを活用した製品群の国内および海外展開について協業することで合意。22年5月、製品展開の第1弾となる電子ノート「オルタリックノート」を法人向けに発売した。富士通クライアントコンピューティングは21年7月、イーインクのディスプレーを採用した電子ペーパー「クアデルノ」の新モデルを発売した。「オルタリックノート」「クアデルノ」とも本物の紙のような書きやすさと読みやすさが大きな特長だ。

「そのほかにも多くの日本企業と提携しています。お互いに協力することでデジタル・イノベーションのスピードを上げ、電子ペーパー業界がより環境に優しい方向に進んでいくことを期待しています」(甘さん)

 2040年にはすべての子どもが目に優しく、ゼロカーボンでつくられた電子ペーパーで学んでいる。甘さんはそんなビジョンをすでに描いている。

元太科技工業股份有限公司
E Ink Holdings Inc.

https://www.eink.com/

文/西島博之 撮影/熊谷俊之 通訳/長谷川あゆ

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