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日本と台湾、二つのルーツを持つ一青妙(ひとと・たえ)さんは、作家、俳優、歯科医としての多彩な活躍に加え、日台の文化交流の場面でも存在感を発揮しています。そのなかで、2016年から始めたのがロードバイクで台湾を一周する「環島(ホワンタオ)」です。台湾の人々にとって特別な意味もあるという、新しいスタイルの島の旅。環島を通してあらためて肌で感じた台湾の魅力、そして「この10年」の変化と“今”について聞きました。

「友人」から「家族」へ。自転車で島を走り、文化に交わり、肌で感じる台湾の魅力 一青 妙さん/作家、俳優、歯科医


自転車で台湾をめぐる旅
「環島」の魅力とは?

――環島(ホワンタオ)を始めたきっかけを、教えていただけますか

「台湾人なら一生のうちにやらなければいけないこと」の一つとされるのが、環島なんです。と言っても最初はピンとこなくて、自転車で台湾を一周、つまり900キロ走ることも想像がつかず、アスリートのような限られた人のものだと漠然とイメージしていました。それが環島ツアーに誘っていただいて、ごく一般の人たちがチャレンジしているものだとわかったんです。「じゃあ、やってみようかな」と、軽い気持ちで参加を決めました。

台湾の環島イベント「Formosa 900」に参加する一青さん。ほかのサイクリストたちと共にチームを組んで走行(画像は本人提供)

――ロードバイクはそれ以前にも?

自転車といえば“ママチャリ”でした(笑)。人生初のロードバイクを買って、近所のサイクリングコースなどで数回練習し、2016年11月に環島に挑戦しました。

――実際に参加して、いかがでしたか

初めて台湾と一緒になれた、と強く実感しましたね。私は子どものころに台湾に住んでいましたが、台北以外はほぼ行く機会がなかったんです。それが自転車でめぐることで、小さな町や村にも立ち寄れて、肌感覚で台湾社会をすみずみまで知ることができました。気になったらすぐに止まれるのは、自転車ならではですよね。車や列車とは違う自転車のスピード感だから発見できることも多々ありました。なおかつ、地元の人とも触れ合える。自然の風景、また先住民やその文化を含め、「台湾の多様性」を感じるのに環島は最適だと思います。

――台湾で環島が盛んになったのには、どんな背景があるのですか

2007年が大きなきっかけでした。聴覚障害のある青年が6泊7日で環島をする姿を描いた映画「練習曲」が、多くの共感を呼び、社会現象になったんです。台湾の自転車メーカー「ジャイアント」の創業者・劉金標(リウ・チンピアオ)さんもその映画に感動し、73歳(当時)という高齢で環島をしたことから一大ムーブメントが起きました。政府も“サイクリングアイランド”を目指し、環島1号線という自転車専用道路を整備するなど、官民一体の動きが加速したんです。台湾人として台湾を知ろうという「認識台湾(レンシータイワン)」の意識が、その10年ほど前から社会に浸透していたことも背景にあります。

「環島のようなロングライドを何度か経験すると、自転車に乗らないのが気持ち悪く思うようになりました(笑)。普段も週に1、2回乗っています」

今や台湾は自転車先進国!
サイクリストへの温かな声援も

――これまで通算3回、環島を経験しているそうですね

私が参加したのは「Formosa 900」という環島イベントですが、ルートが毎回微妙に違って、その都度新しい楽しみがあるんです。日程も4泊5日で一周する猛者もいれば、10泊かけたり、数回に分割して一周したりと、体力に応じて選べます。列車での移動を組み入れることもできますし、環島にはいろんな楽しみ方があるんです。「前に行っておいしかった、屏東(ピントン)のあの店のかき氷を再び!」といったことを目的にもできますよ。

――お気に入りの景色も見つけられそうですね

はい。例えば東海岸の花蓮から台東まで続く花東縦谷は、中央山脈と海岸山脈に挟まれた細長い平地ですが、朝もやのなか、連なる3000メートル級の山々に抱かれる緑の平地を走る、という幻想的な風景を満喫しました。

――3回を通して感じたのは、どんなことでしょうか

「台湾では自転車が文化になっている」ということですね。スポーツとしてだけでなく文化として定着させようという当初の目標が、熟成されてきたと思います。修学旅行のような通過儀礼として参加したり、何かの記念の家族旅行にしたりと、台湾の人は何かしらの意味を環島に持たせています。「台湾を知るためのサイクリング」が生活に根付いているようです。

台湾の多様な景観美も堪能。「台北から出発し、北回帰線を南に越えると、ぐっと緑が深くなります」(画像は本人提供)

―― 一青さんは日本でも、環島の旅を実践しているとか

私にとっての「認識日本」ですね。屋久島や奄美大島、佐渡、天草、利尻島、和歌山、四国などを回っていますが、日本も台湾同様自然が豊かで、地形に適度な起伏がある島国なんだと体感しました。四季のある日本ならではだったのは、雪景色のなかを走った乗鞍での経験です。一方、台湾と大きく違うのは、人々がサイクリストに慣れていない部分ですね。台湾では、自転車の横を通る車が窓を開けて「加油(ジャーヨウ/頑張れ)!」と声援や合図をくれるのですが、日本の道路ではトラックが至近距離で横付けすることもあったりと、自転車に配慮した交通マナーがまだ……。自転車文化の定着という点で、日本が台湾に学べることは多いと思います。

2017年に「四国一周サイクリングPR大使」に就任するなど、日本のサイクリングイベントにも参加。台湾と距離的にも地形的にも似ているという四国では、道後温泉も走行ルートに。ピースサインの写真は、能登半島一周に挑戦した際のもの(画像は本人提供)

この10年で深まった日台の絆
真の家族のような存在に

――台南市親善大使の活動など、日台の交流ではどんなことを感じていますか

東日本大震災をきっかけに、日本の20代、30代の方たちの間で台湾への興味が格段に広がりましたね。「なぜ多額の義援金を送ってくれたのだろう」という疑問から、「台湾はどこにあるの? 行ってみたい」に発展し、実際に赴く人が増え、草の根での交流も活発になりました。また今年、私は台湾の絵本を訳したのですが、そのこと自体も驚きでした。かつては、日本で翻訳出版される台湾の本は学術書や日本統治時代の書物といった、歴史や政治的な意味のあるものでしたが、今では小説やエッセーも続々と登場するようになりました。同性婚や多民族共存を支持する台湾人の価値観が進歩的なことも日本で認識されるようになってきたりと、10年前には想像もつかなかった状況です。台湾と日本が文化的に近くなったことを強く感じます。

――台湾のなかでの、この10年の変化はいかがでしょう 

2000年ごろから政府が主導している「文創」という概念は、「文化創意」のことで、昔から伝わるものにリノベーションを加え、新しい文化を創造しようというものです。その考え方が、若い人たちのなかに定着してきました。伝統工芸に携わる年配者と若者のコラボといった成功例も多くあって、台湾らしいものがより使いやすくファッショナブルになって、現代に受け入れられています。プロダクトのほか、古い建物を生かしたショップや文化的なコンテンツでも新しいアイデアが生まれていますね。

蝶のピアスは、台北の誠品書店のなかの専門店で見つけたもの。「台湾は蝶の生息地として有名ですが、そんな台湾らしさをちょっとした可愛いものに乗せて価値のある商品にできるのは、今の台湾ならではです」

――台湾のプロダクトで、特に注目しているものは?

自転車に乗り始めて知ったのが、台湾のジャイアントは女性のために独自に設計したブランドを確立しているということです。ほかのメーカーの女性用ロードバイクは、男性と同じ型のフレームのサイズ違いなのですが、ジャイアントの女性用ブランド「Liv」は女性の体格に合わせてつくられたフレームです。そうした先を見越したモノづくりは、台湾メーカーの強みですね。「メイド・イン・台湾」のプロダクトは、日本でも肯定的に認知されてきたのではないでしょうか。

――最後に、これからの日台に期待することを教えてください

日本と台湾は長年「友情」を培ってきましたが、この10年でそれが太い絆になったと思います。これからは真の「家族」になるべく関係をさらに深めていきたい。若い世代がお互いに興味を持つようになった今の時代なら、近い将来、そうなれると思います。私自身も、二つのルーツを持つ者として、小さな力ですが、これからも文化的な交流の場でできることを続けていきたいと思っています。

一青 妙(ひとと・たえ)/作家、俳優、歯科医

台湾の名家「顔家」出身の父、日本の石川県出身の母のもと台湾で育ち、11歳より日本に暮らす。2000年に俳優デビュー。台南市親善大使の活動など、日台の文化交流に注力。著書は、家族の思い出を綴り、映画・舞台化もされた『私の箱子』『ママ、ごはんまだ?』(ともに講談社/今夏、台湾で一青さん出演の舞台「時光の手箱」が再演)、『わたしの台南』(新潮社)、『「環島」ぐるっと台湾一周の旅』(東洋経済新報社)など。訳書は、絵本『「はやく」と「ゆっくり」 ぼくは、どうしたらいいの?』(光村教育図書)。石川県中能登町観光大使、四国一周サイクリングPR大使も務める。

文/八幡谷真弓 撮影/木寺紀雄 撮影協力/猫米(旧hoja kitchen Tokyo)

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